Wantedly騒動に学ぶ、ネットの悪評を削除するリスク

ネガティブな指摘を受けた根を根絶すべき

3.無理矢理削除しようとする行為自体が逆に悪評の拡散につながる

今回のWantedlyのケースで明確になっているように、ネット上での裏技的な手法でネガティブな投稿を削除するという行為自体に大きなリスクがあります。

DMCA申請を使わないまでも、投稿主を訴訟する行為自体も、相手の態度を硬化させてより敵を増やしてしまうというリスクがあります。よっぽど相手の指摘が悪意に満ちて間違っていて、会社の事業に悪影響を与える場合で無い限り、訴訟という選択が裏目に出てしまうこともあるのです。

そもそもネガティブな指摘が、自社の顧客による真実をついた指摘なのであれば、実は一部の人のネガティブな指摘をネットから削除したところで、また新たなネガティブ指摘が増えるだけ。

元々のネガティブな指摘の根を排除しなければいけません。

こうした状況の対応として参考になるのは、マクドナルドが異物混入等の騒動で上場以来最大の赤字を記録した後、見事な復活を遂げた際に社内でキーワードをされていた「ラブ・オーバー・ヘイト」という言葉でしょう。

参考:マクドナルドの復活で見落とされがちな本質
 

これは憎しみを愛で乗り越えようという意味のキーワード。マクドナルドは、不祥事の過程で失われかけていた顧客のマクドナルドに対する愛情を再び思い出してもらうために、様々な企画を商品と共に楽しんでもらうことで、不祥事の印象を新しいマクドナルドの楽しい思い出で塗り替えていったのです。

そういう意味で、一部ユーザーの悪評が気になったとしても、逆に他の大多数のユーザーからポジティブな声が出てくるようにしたり、その発言を可視化する努力をしたりする方が、ネガティブな投稿自体を力業で削除したり、訴訟したりするよりも、本質的な対応になると言うこともできるはずです。

ぜひ、ネガティブなクチコミを簡単に削除できるという安易な提案には引っかからないようにしてください。

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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