インタビューは自分のダメな部分を丸裸にする鏡
木村元彦さんの授業では、ノンフィクション原稿(2800~3200字)の課題が出ました。人物の掘り下げに関してやや難易度の高いゲストを呼び、受講生が代わる代わるインタビューをします。
1人の持ち時間が終わると、木村さんから「どうして●●の質問をしましたか?」と訊かれます。理由を答えると、「ならば、具体的な●●の話から切り込めば、もっと早く人物の核にたどり着けたかもしれないね」などと、少ない持ち時間でも相手を的確に掘り下げる方法を具体的に教えてくださいました。
取材対象者はノンフィクション作家の長田渚左さん。私を含め質問者の9割は、彼女にバッサリと斬られました。自分も同期も斬られる様をICレコーダーで後から聞き直すのは、苦痛の極みでした。私は長田さんを僭越ながら“人間としてバランスが悪い”と評し、演劇の側面から彼女を書きました。
書き上げた後の授業で、自分の原稿を皆の前で音読します。木村さんからは、細かい部分で言葉選びが雑だと指摘を受けました。また、インタビュー時同様、「何故この一文はこのような表現にしましたか?」と、質問を受けます。その問答から、書く以上、全ての質問に明確に答えられるだけの書き手としての自覚がまだ足りないと思い知らされました。
正直、この後書き上げる卒業制作よりも、長田渚左さんのノンフィクション課題の方が数倍しんどかったです。しかし、この課題を乗り越えたことで、卒業制作の執筆にも良い兆しが見えてきました。
続く(第3回では、卒業制作についてご紹介します)
横山 由希路(よこやま・ゆきじ)
神奈川県生まれ、横浜市在住。フリーランスライター&編集者。インディーズ系レコードレーベルのプロモーター、漫画編集者を経て、エンタメ系情報誌の編集・ライティングに携わり、その後フリーに。編集者の傍ら、コミュニティFMのパーソナリティーを務めたことも。好きなものはプロ野球、演劇、フジロック、台湾・台南での古民家めぐり。「編集・ライター養成講座」総合コース修了生、上級コース受講生。
講師陣は、総合誌、週刊誌、ビジネス誌、ファッション誌、Webメディアなどさまざまな分野の現役編集長や、第一線で活躍中のライター・ジャーナリスト・作家など。多くの課題添削、実践トレーニングを通じて、現場で活躍できる編集者、ライターを養成します。