クリエイティブディレクターの谷山雅計氏、アートディレクターの秋山具義氏に、デザインの意図・狙いを聞いた。
—撮影を終えていかがですか。
谷山:八木さんには、昨年「コピーライター養成講座」のポスターに出演いただき、その時は“静”のイメージで撮影しました。一方、今回は彼女の躍動感、自然な動きを撮りたいと思っていました。こちらが何も言わなくても、キレイな動きをしてくれましたね。
秋山:圧倒的なオーラに驚きました。短期間のうちに、人間としてスケールが大きくなったことが伝わってきました。人って、きっかけひとつでぐっと伸びることがある。「宣伝会議賞」も、人が伸びるチャンスのひとつだと思います。それを表現する上で、今まさに大きな伸びを見せている八木さんに出演いただいて良かったと感じています。「コピーライター養成講座」も「宣伝会議賞」も、これまでは人物に寄った写真を使うことが多かったのですが、今回は引きで撮ったことで、八木さんのスタイルの良さや存在感を生かすことができました。
—ビジュアルのコンセプトは。
秋山:谷山さんから事前にいただいたコピー案は、力強いものが多かった。それを見て、この世の中で「コピー1本で勝負する」って、カッコいいなと改めて思いました。たくさん書いて「どれかが当たればいいな」よりも、「この1本で勝負するぞ」と強い気持ちで応募してもらえたらなという思いを込めています。
谷山:「宣伝会議賞」には、いろいろな立場の人が応募すると思うんです。日々実務の現場でコピーを書いているセミプロやプロもいれば、特に「中高生部門」では初めてコピーを書く人もいる。広く門戸が開かれたアワードであることを表現しました。たった一言での勝負だから、初めてコピーを書く人が意外と良いものをぽーんと書いちゃうこともあり得るんですよね。新人が見せる一瞬の輝きが、ベテランの経験を超えることがある。「誰にでもチャンスはある」ということが伝わるポスターになればいいなと思います。
—広告クリエイターを目指す人や、広告クリエイティブに関心を持つ人に向けたメッセージを。
谷山:ある広告会社の人に聞いた話ですが、クリエイティブ部門に配属される人の中でも、CMプランナーやコピーライターになりたいという人より「コミュニケーションプランナー」のような、総合的なスキルを持つ人を志す人が多いようなんです。目標とするのは悪いことではありませんが、いきなりすべてをやろうとしても難しい。まずは自分の“得意技”をつくって、それを起点にスキルを広げていくことをお勧めします。コピーを極めることはもちろん難しいものですが、普段使っている日本語であることは間違いない。取っかかりを掴みやすいので、まず言葉から磨いていくのは、良い方法だと思います。あの糸井重里さんも、今はまさに広告の枠を超えたコミュニケーションデザインをやっているけれど、最初はコピーから入っていきました。その歴史も踏まえると、コピーから広告界に足を踏み入れるのは、良いアプローチと言えるのではないでしょうか。
秋山:グラフィックデザインは、美大や専門学校を出ないことにはなかなか出発点に立てませんが、コピーはある意味、誰にでも書くことができる。チャレンジしやすいと思います。コピーをきっかけに広告の世界に興味を持ち、多くの人に入ってもらえたら嬉しいですね。
秋山具義(あきやま・ぐぎ)
デイリーフレッシュ アートディレクター
1966年秋葉原生まれ。1990年日本大学芸術学部卒業。1999年デイリーフレッシュ設立。広告、パッケージ、装丁、写真集、CDジャケット、キャラクターデザインなどの幅広い分野でアートディレクションを行う。主な仕事に、TOYOTA「もっとよくしよう。」キャンペーン、東洋水産「マルちゃん正麺」 広告・パッケージデザインなど。イタリアンバル中目黒「MARTE」のプロデュースも手掛ける。2016年『秋山具義の#ナットウフ朝食 せめて朝だけは糖質を抑えようか』を出版。Twitter @gugitter/Instagram gugitter/食べログ 秋山具義「ぐぎログ」。
谷山雅計(たにやま・まさかず)
谷山広告 コピーライター
1961年生まれ。主な仕事に資生堂「TSUBAKI」「UNO FOGBAR」、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、新潮文庫「Yonda?」、日本郵便「年賀状」、東洋水産「マルちゃん正麺」、OCEDEL「Firefly Man」、モバゲー、サイボウズなど多数。著書に『広告コピーってこう書くんだ!読本』。1987年、TCC新人賞を受賞。TCC部門賞、朝日広告賞、新聞協会広告賞、アドフェストグランプリ、カンヌライオンズシルバーなど受賞多数。
日本最大規模の公募広告賞 第55回「宣伝会議賞」の作品募集を開始しました!日本を代表する企業の実在する商品・サービスを課題として、キャッチフレーズやテレビ・ラジオCM企画のアイデアを募集する“誰でも参加できる”公募型コンテストです。
今年の課題数は55点(一般部門46点、中高生部門9点)。中高生部門は、中学生・高校生の方のみご応募いただけます。
皆さまのオリジナリティあふれるアイデアのご応募をお待ちしています。
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