ポイント
◇デジタル施策の未経験者を採用・育成して、スマートフォンサイトを構築。
◇実店舗や製造現場に出向き、情報収集を行いながらコンテンツへ反映。
◇EC チームの取り組みの意義を、会社全体に発信し共有。
春華堂は、1887年に創業。1961年に発売した「うなぎパイ」は、浜松土産の定番として愛され続けている。老舗でありながら、菓子の新しい文化とスタイルの発信に熱心だ。
うなぎパイ発売53年を迎えた2014年には、スイーツのテーマパーク「nicoe」をオープン。さらに新ブランドとして、五穀と発酵をベースにした和菓子ブランド「五穀屋」とパイブランド「coneri」の2つを立ち上げた。同年、オンラインショップやブランドサイトをリニューアル。スマートフォン用サイトも開設し、翌15年からはポイントが貯まる公式アプリを配信するなどデジタル施策にも注力する。
こうしたリブランディングに向けて動き出した当初、構想はできていたが、重要なものが欠けていた。デジタル施策を企画・推進できる人材だ。ブランド発信の要となる、デジタル領域の担当者を採用・育成するため、フラクタが春華堂の取り組みに参画することになる。
採用面接にはフラクタの河野貴伸社長が立ち会い、現在は経営管理室のメンバーである大石さくら氏と山口葵氏の配属が決まった。2人はデジタル領域の経験はないものの、春華堂というブランドに強い関心を寄せていた。
入社後は3カ月間フラクタに出向。春華堂のスマホサイトを構築することをゴールに据え、Webシステムの仕組みからセキュリティ、サイト構築ツールの使い方といったデジタル領域のことから、ブランディングの基礎知識まで、ブランドを担うために必要な幅広い知識・スキルを身に付けていった。そして最終的には、春華堂のPCサイトのコンテンツを再編集し、スマホサイトをオープンさせた。
「デジタル領域に関して一定の知識がある人は、ある程度のクオリティを越えようとするがゆえに、アウトプットが遅れる傾向があります。しかし新しいサイトの構築にあたっては、すべきことがたくさんあるので、クオリティにこだわりすぎると進まなくなる。むしろ立ち上げ期は、経験が少ない人のほうがスピーディにプロジェクトが進むことがあります」と河野氏。
スマホサイトに着手した頃は、「Webサイトの構築とブランディングがなぜ結びつくのかもわからなかった」という2人だが、徐々に「Webサイト自体が、春華堂というブランドを発信していく場所」だと理解し、「ブランドの一端を担うサイトだからこそ、常にブランドイメージに即した形で発信しなければいけない」と痛感したという。
2人の入社から1年後に春華堂に入社した池田靖子氏は、東京でデジタル領域の経験を積んだ後、Uターンしての転職だ。
「春華堂のWebサイトを見たとき、ブランドを立ち上げたり、イベントを実施したりと、新たな取り組みに積極的な会社という印象を受けた」と池田氏は振り返る。ブランディングの一端を担うWebサイト。そこから見てとれる企業の魅力が、池田氏の入社を後押しした。
現在、池田氏率いるECチームは、経営管理室に所属する4人。Webサイトのコンテンツ作成からバナー広告の作成、通販受注業務の運用、アプリの企画・運用まで同チームが担い、技術面でサポートが必要なときに、フラクタに依頼するというスタイルが定着している。
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