「パナソニック宣伝100年の軌跡」(6)暮らしを見直す、きっかけづくり — 住宅設備・電気設備の広告篇

読ませる広告で住まいづくりの知識を広める

—住まいに関するパナソニックのこれまでの広告を振り返ると、新聞広告を中心に、情報量が多いものや、提案型のものが目立ちます。パナソニックの宣伝部門が内制した広告も少なくありません。

02. 1968年 新聞 1部屋2あかり3コンセント
03. 2003年 テレビCM NAiSドレッシング

一倉:「1部屋2あかり3コンセント」のコピーは覚えています。ひとつの部屋に必要な照明は2種類、コンセントが3つ、と説明的ですが、当時の住宅はそれが浸透していなかったのでしょう、名コピーです。

黒木:テンポが良くて、誰でもすぐに覚えられますね。

一倉:これからの住まいや生活のスタイルは、こういう風にした方がいいですよ、と広告で地道に伝えてきたわけですね。新しい生活スタイルを提案していくということを、昔からパナソニックはやってきたということですね。

黒木:60年、70年代の住まい方を提案する新聞広告を見ると、リフォームを考えていない人であっても、なるほどと思える、読みたくなる内容です。何年後かに、いざリフォームをしようとなった時に思い出すことができるのでしょうね。

一倉:住宅設備の広告は、この商品をいくらで買いたい、という話ではなくて、直近でなくても、もし購入したら生活がどのように良くなるのか、ということを伝えることが大事だったわけです。いわゆる啓発型、提案型の広告です。

黒木:共感を得やすいように、わかりやすく伝えようとする制作者側の思いがうかがえます。パナソニックは広告の分野でもトップランナーで、消費者の立場に立って広告を制作するという伝統を、今に至るまで引き継いでいらっしゃるのだと感じました。

—住宅設備・電気設備の分野は、高齢者向け住宅のサービスや、東京スカイツリーのライティングなど進化を続けています。創業100年を迎えるこれからのパナソニックに期待することは何でしょうか。

一倉宏(コピーライター、作詞家)
一倉広告制作所代表。大学卒業後、サントリーに入社し、宣伝部でコピーライターとして勤務。仲畑広告制作所を経て独立。代表作に「きれいなおねえさんは、好きですか。」など。TCC最高賞ほか多数受賞。

黒木:100年の間には、終戦があり、パソコンや携帯などの技術革新もあり、大変な変化がありました。その中でパナソニックの広告を切り取ると、消費者と向き合ってきたのがわかる歴史だと思いました。私はエンタテインメントの世界で、お客さまに笑顔になってもらおうと、作品に取り組んでいますが、パナソニックの「消費者に喜んでもらうためにはこういうものがあったらいい」と活動されている姿勢には、エンタテインメント性を感じます。これからも、そうあってほしいです。

一倉:ブランドは大切だと、改めて思います。

100年かけてブランドをつくり上げてきたパナソニックだから、間違いないだろうと思わせる歴史がある。デフレの時代は、家電製品にしても、何にしてもコストで選ばれる面もありますが、企業にとっては、ブランドを信頼してもらって選ばれるということが最も大切です。その信頼を一つひとつ積み上げていくのが広告の仕事なのだと思います。

「より良いくらし」をいつまでも
 

2014年 新聞 スマートHEMS

パナソニック最初の商品、アタッチメントプラグからはじまる電設材料の歴史。大正時代の大ヒット商品「二股ソケット」とともに、「電気をかしこくつかう」ことが、パナソニックのはじまりでした。

このコンセプトは、エネルギー消費をコントロールする「スマートHEMS」へと受け継がれ、電力消費プラスマイナスゼロの「ネットゼロエネルギーハウス(ZEH)」を実現する将来へと続いています。

1958年にプラスチック製雨といと基礎建材からスタートした住宅設備・建材事業は、間取り提案や施工まで行う「サービス・エンジニアリング」を手がけるまでになりました。1998年には介護事業を立ち上げ、介護サービスから、介護・福祉用品の開発製造まで、トータルに展開。ライフステージに応じた「より良いくらし」をお客さま一人ひとりが実現できるよう、サポートしていきます。

住宅設備・電気設備宣伝年表

編集協力:パナソニック株式会社


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