「CPA至上主義からの脱却」日産自動車・ライフネット生命保険・ソフトバンク・サイカ登壇のセミナーレポート

Web広告の効果測定において、施策ごとにCPAを見て評価することが一般的になっている。しかしテレビCMを代表とする間接効果が強い施策もCPAだけで評価してしまうと、費用対効果が合わず止めてしまうケースも。その結果、広く認知させるための施策が打てず、成果が先細りしていく。

そこでマーケティング活動に役立つ、統計分析ツールを提供するサイカは7月20日、宣伝会議・東京本社(東京・表参道)にて、「Web広告の効果を最大化させるためのオフライン広告活用セミナー」を開催。オンライン広告、オフライン広告に限らず、統合的な視点で取り組む企業のマーケターが集まり、Web広告の効果を最大化させる方法について議論が行われた。

基調対談:「CPAが下がらない理由とは —ラストタッチからの脱却—」

・ライフネット生命保険 営業本部 マーケティング部長 岩田慎一氏
・日産自動車株式会社 日本EV事業部 マーケティングマネージャー 小暮亮祐氏
・【モデレーター】サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭氏

【モデレーター】サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭氏

第一部は、ライフネット生命保険の岩田氏と日産自動車の小暮氏が登壇。まずは、モデレーターの平尾氏から、「Web広告の成果を評価するにあたって、CPAは最適な指標と言えるのか」という問題提起がされた。

この疑問に対して、ライフネット生命の岩田氏は、「保険業界は特性上、ライフタイムバリューを追うビジネス。あくまで見るべきは、お客さまがどれだけ契約を継続してくれているか。そういう意味では、CPAは最重要指標ではない」と述べた。

日産自動車株式会社 日本EV事業部 マーケティングマネージャー 小暮亮祐氏

同様に、自動車も頻繁に買い換える商品ではない。その上、購入する際は、最終的に来店する必要がある。日産自動車の小暮氏は、「たとえWeb上でユーザーにアプローチできたとしても、最終的には店舗というチャネルが果たす役割も大きく、ひとつの接点だけで、お客さまの購入や態度変容が起きるとは言い切れない。CPAが下がったとしても、来店数や販売台数との相関は見られない」という見解を示した。

また、CPAを下げようとするあまり、陥ってしまう罠は他にもあると、小暮氏。「CPAを下げようとすると、お客さまを細かくセグメントすることになる。絞り込めば確かに単価は下がるが、結果として需要を縮小させてしまう」(小暮氏)。

さらには担当が細分化していく中、獲得件数の責任がWeb担当者に押し付けられがちだという意見も。

ライフネット生命保険 営業本部 マーケティング部長 岩田慎一氏

「全体のCPAにおいてもWebが力を発揮する部分と、オフライン広告や商品企画、キャンペーン企画などが力を発揮する部分がある。今後は、それらを総合的に分析し、獲得件数とCPAをなだらかな曲線で最大化させるための取り組みにシフトする必要がある」(岩田氏)。

Webとオフラインの広告効果を最大化させていくためには、組織体制も重要になる。日産自動車では、以前はオンラインとオフラインで部署を分けていたが、現在では統合的にデータを分析する部隊がいる。また、ライフネット生命保険でも、オンラインとオフライン広告を同じ予算内から振り分けることで、どの施策が最適なのかを常に考えながら柔軟に対応しているという。

次ページ 「Web広告の効果を最大化させるためのオフライン広告活用」へ続く



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