「バズ狙い動画広告を卒業した後の進路は、ライブ配信ではないか」― 元「C CHANNEL」編集長 やまざきさんへの取材で考えた

バズ狙いの動画はもう終わりにしよう!

前回も、動画広告の炎上について書きましたが、その後もいくつか新たな炎上が起こりました。「本来の面白さ」より「炎上で話題になる」のが動画広告、みたいな。

なぜ炎上するかというと、バズを狙うからじゃないでしょうかね。このところ続いたのは「もう、そういうの止めにしません?」というサインなのかもしれません。

そこで2回に渡って「バズ狙いじゃなくて、こうしようぜ」という議論を展開しようと思います。いつも原稿が遅れるのにそんな約束して大丈夫ですか?と編集担当の陰山さんがヒヤヒヤしそうです。この原稿だってホントは8月分なんですよね。ま、大丈夫!たぶん、おそらく・・・。

さて本論の前に「そもそも論」を書きます。それは、「バズなんてたいしたことないのよ」という話です。

私はアドタイに限らず、あちこちで原稿を書いています。原点はやはり自分のブログです。最近、かなり怠けちゃってますが、もともとはブログ「クリエイティブビジネス論」で「これからテレビはどうなる?」「メディアはどうなる?」などと書いていたら一部業界の人が読んでくれるようになったわけです。たまにバズったりして、たくさん読んでもらえることもありました。

一方、去年から「Yahoo!ニュース 個人コーナー」にも書いています。「Yahoo!ニュース」上に個人名義で書く人になり、いちおう「メディアの専門家」として、そういう類いの文章を書いています。つい先週もこの記事を書きました。

画像はYahoo!ニュースより

不倫報道が多過ぎではないかと、エム・データ社にグラフをつくってもらったら想像以上だった、という内容です。この記事は旬なニュースを紹介するコーナー「Yahoo!トピックス(ヤフトピ)」入りして、どえらい数の人に読んでもらえました。

「ヤフトピ」のパワーは、メディアや広告に関わる方なら、なんとなく知っていると思います。時と場合によりますが、1記事で100万PVになることも珍しくありません。去年、最初に「ヤフトピ」入りした時は信じられませんでした。たった1日で100万PVってそんなことあるのか、と。

自分のブログでもバズったことはありますよ。でも、相当バズった時も1日で数万PVでした。個人のブログだと、そんなもんです。もちろん、もっとスゴイ人もいるわけですが、私の場合はそんなもん。それが「ヤフトピ」に入ると100万PV。

で、ここで誤解してはいけないのは、Yahoo!ニュースの場合、バズるから100万じゃないってことです。シェアされた、Twitterでつぶやかれた、という数で言うと、おそらく個人ブログの方が多くなることはあります。逆に言うと、個人ブログは私の場合、そういう拡散力によってしかPV数が莫大になることはない。

Yahoo!には「何か面白い記事ない?」と暇つぶし的に訪れる人が大量にいて、ふらりと見たら「不倫報道ベッキー以降激増?」などの見出しに興味をもって記事を読むわけです。莫大な数の人が読んで、その中にはツイートする人もいる。「ヤフトピ」に載って拡散されるから100万ではなく、そもそも「ヤフトピ」に載るから100万なんです。

個人ブログの場合は、ツイートされたのを見て読みに来るため、順番が逆なわけです。だからYahoo!に書くと「ヤフトピ」に載らなくても数万PVになることはザラです。個人ブログで激しくバズった時と、Yahoo!でさほど注目されなかった時が同じくらい。

何が言いたいかというと、「バズよりメディアパワーの方がずっと大事だ」ということです。バズで拡散されても、そうそう何百万人には伝わらない。ネットは拡散すればメディアコストをかけなくても大勢に伝わる。そんなこともありますが、広告というビジネスを目的とする際には、もはやバズ狙いなんて「宝くじ」みたいなもんに賭けちゃダメなんです。いい加減わかった方がいい。

個人の活動や、社会貢献的な活動ならバズ狙いはありでしょう。思わぬ人との出会いを生みます。でもマーケティング活動では、「リーチを稼ぐためにバズを狙うのは誤りだ」と言い切りたい。もはや「迷信」と思ったほうがいい。そこがわからないから、変なチカラが入って炎上しちゃうわけです。

だから、バズ狙いで動画つくるのもう卒業しようよ、という話。ではネットでの動画活用はどうすればいいでしょうか。もちろん、答えはたくさんあります。今回紹介したいのは「ライブ配信」です。

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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