【中尾孝年氏】電通 クリエーティブ・ディレクター
【小湊孝志氏】NECマネジメントパートナーコンテンツマーケティング部エキスパート
良い企画であるほど、企画書もわかりやすい
—「良い企画書」というものがあるとすれば、それはどのようなものでしょうか。
中尾孝年:「企画書」とは、その企画を実現させるためのものです。そのため、「企画書の良し悪し」というものがあるとすれば、アイデアを現実のものにできるかどうかが、そのひとつではないでしょうか。「良い企画書」の条件はまた、企画・アイデアのすばらしさをまっすぐ伝えていることです。当然ながら、イマイチなアイデアを良いものに見せかけることではありません。なので「良い企画書」の要素はなによりも、「良い企画」であるということになります。当たり前のようですが。
小湊孝志:では「良い企画」というと何かという話になりますが、それはもちろん、「課題をきちんと解決するもの」ということになります。同じ「解決する」でもコストが低いほうがいい、といった見方も当然あるでしょう。
中尾:そうですね。企画を考えるうえで必要なのは、アイデアの発想力よりも、解決すべき課題をクリアにできることではないかと思います。まさに「良い企画」とは、課題に対して明確な解決策を提示するものであるべきです。
小湊:ただそもそも「いったい何が課題なのかがわからない」というケースもありますよね。
中尾:そうなんです。オリエンテーション(解決すべき課題の前提などを説明する場)で依頼主が提示した課題が、いつも正しいとは限りません。一度立ち止まって熟考し、表面化している問題の根っこには何があるのかを見定めることが重要です。根本的な課題を突き止めてから、その解決策を考える。課題を正確につかめれば、解決策の精度も増します。解決策が明確な企画はわかりやすく、伝わりやすいので、企画書にまとめやすくなる。反対にイマイチな企画は、解決策がアヤフヤなので企画書にしにくい。解決策がぱっとしないのは課題があいまいだから。もし企画書作りに手間取るようなら、そこに原因があることが考えられますね。