サイト運用、いつまでも丸投げしてて大丈夫?【Webディレクターの未来を考える座談会・前編】

Webディレクターに求められる、社内コミュニケーション力

高瀬:クライアント側の担当者が、社内でのコミュニケーションをうまくとれず、プロジェクトが頓挫してしまうケースが多いと感じています。

中村健太氏
ビットエー メディア戦略室室長

BITA デジマラボのプロデュースやAIカンバセーションエンジンの開発など、様々な分野で活動するマルチディレクター。KaizenPlatformのグロースコンサルとしても知られ、2014年より日本ディレクション協会の会長を務める。主な著書に『現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール2』、『第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書』など。

中村:広報や経営企画など、全社に影響力を持つ専門の人間がプロジェクトに加わるかどうかが大きいですよね。

高瀬:企業から相談をうけるとき、役員レベルの権限を持った人の直下のプロジェクトであるかも重要ですよね。Webは機動性の高さが勝負。最近、動画が流行っていると言った時点ですでに遅くて、社内承認をとるために書類準備してというフローを踏んでいると手遅れですから。

中村:僕は先方と担当者と一緒になって、社内説得するための資料をつくるケースもあります。それが正解なのかわからないですけど。

高瀬:Webの重要性や活用方法に理解のある人が権限をもっているか、社内で交渉できるポジションにいるかは、まだまだ重要ですね。

そういう意味では最近、ITに強い人材を役員待遇で採用するケースも多くあるため、クライアント側でも課題として感じているところが多いのかもしれません。

コスト判断ができるかどうかが重要

中村:大手システム会社や制作会社に外注した制作物をリニューアルしようと思って調べてみたら、莫大な費用が掛かることがわかり、仕方なく部分的に更新する状態になっているWebサイトをよく見かけます。

田口:そもそもかけるコストの妥当性、そして投資すべき方向性の判断ができていない企業も多いですよね。

高瀬:大量生産を前提とした一般消費財で競争している企業は、まだマス広告の優先度が高いようです。逆にマスで戦えない企業ではWebの活用が進んでいます。

田口さんの言う通り、限られた費用の中で、Webにどこまで配分できるのかは、今後どの領域で戦っていくのか企業の姿勢で変わってきます。

それに関連して、企業がWebを活用するハードルの1つに、顧客とコミュニケーションをとる覚悟があるのか、ということもあると思います。ユーザーとのコミュニケーションが原因で炎上騒動が起こることも多く、デリケートになっている企業も多いです。

中村:SNSの運用が保守的思考になっている企業は、あまりうまくいっていない感じですよね。

高瀬:Webはシステムが絡むため、見た目は良くできていても、内実は混乱してしまっているケースもあります。個人情報の流出も起きていますし、もっと慎重に扱い、コストをかけるべきという認識になってきたなと感じています。

<後編に続く>

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