介護にも向き合う世代 一人ひとりに合わせた働き方を
千布:私たちAMDは、企業やサービスの広告クリエーションや、ブランドコンサルティングをする会社ですが、それって突き詰めれば課題解決をするということ。そこで、この広告の課題解決のロジックを社会課題の解決にも生かすような取り組みをしたいと考えてきました。
「mom.ent」を立ち上げたのもママクリエイターの活躍が、長時間労働になりがちな広告業界の課題解決につながるのではないか、と考えてのことでした。
森本:長時間労働になりがちな、広告業界の働き方が問題になってきたタイミングで子育ても仕事も両立させたい女性たちが、中心世代になってきた。育児と仕事を中心に今、日本が大きく動こうとしていますが、私たちの世代はさらに親の介護も始まっていきますよね。未来に向かっていく育児は仕事のエネルギーになるけれど、介護は自分にとっても新しい体験なので今後、自分自身の仕事に影響していくのかは未知数です。
今尾:私も、ママだけが守られる環境はちょっと変だなと思っています。育児をする人と同じように、介護をする人も安心して働ける環境が必要ですよね。
森本:子育てをしていると、一人ひとりが違う個性を持った人なのだということがすごくよく分かる。その子どもが大人になって社会をつくっているわけだから、そもそもみんなが同じように働こうとするのは無理があります。ママだけじゃなくって、それぞれの環境に合わせた働き方をつくっていくことが必要ですよね。
一人ひとりの命に寄り添うというか。
今尾:同じ働くママだって環境や子どもの個性によって、子育てと仕事のバランスは変わってくる。画一的ではなく、一人ひとりとパーソナルな契約をしていくのがきっと今後の理想の形だろうなと思います。
光文社 月刊『VERY』編集長 兼 ブランド事業室長
今尾 朝子氏
1998年光文社入社。『VERY』編集部、『STORY』編集部を経て、2007年より現職。2012年より『VERY』ブランド事業室長を兼任。1児の母。
goen° 主宰 コミュニケーションプランナーアートディレクター
森本 千絵氏
1999年博報堂入社。2007年独立して「goen°(ゴエン)」を設立。企業広告はもとより、松任谷由実らミュージシャンのアートワーク、動物園のディレクションや保育園の内装などを手がける。1児の母。
AMD 代表取締役CEO
千布 真也氏
2006年エーミライトデザイン(現AMD)を設立。
ブランディングを軸としたプロモーション提案、ソーシャルデザインなどを行う。2017年6月にママクリエイターの価値を最大限に引き上げることを掲げ、クリエイティブプロダクション「mom.ent(モーメント)」を設立。