第1部:マーケティングファネルから考える動画プロモーション戦略とKPI設計
登壇者:スパイスボックス 副社長 物延 秀氏
第1部はスパイスボックス 副社長の物延秀氏が登壇。ブランディングを目的とした動画を制作していくうえでの考え方について講演を行った。まず物延氏は、現在が企業のコミュニケーション戦略における大きな変革期にあると分析する。
「スマートフォンとソーシャルメディアの普及に伴い、既存のメディアだけでなく、一般の生活者までが情報発信するようになったことで、情報の爆発に拍車をかけている。そして長引く経済減退による急速なコモディティ化によって、マーケティングの世界も大きく変化しつつある。その最たる事態が、商品認知が向上しても購入にはつながらないという現象である」
モノ・コト・情報があふれる時代では、商品・サービスの価値を単に伝達するだけでは生活者の心に響かない。そこで新たに求められているのが、生活者から選択されるための「共感を促進する」ための施策づくりだと述べる。
「これまで動画制作における効果測定の指標となっていたのは、再生回数や完全視聴率、離脱率などだった。そのため、再生回数を伸ばすための『釣りタイトル』などが度々、問題視されてきた」
これでは動画本来の目的である「視聴してもらうことで好意形成につなげる」という視点が欠如している。そこで、好意形成につながる動画コンテンツ制作のポイントを「シェア動画」と「コア動画」に分けて解説した。まずシェアされる動画の価値について次のように話す。
「シェアという行為は、『購入』や『ファン化』する前段階の『好意』『共感』に当たる行動を示している。企業との関係性を高め、かつ、生活者自身のソーシャルメディア上での能動的なシェア拡散を獲得できるコンテンツは高いパフォーマンスが見込まれる施策の一つ」
そしてソーシャルメディア上の評判ボリュームを計測する指標として「エンゲージメント数」を導入することを提案した。エンゲージメント数はFacebookやTwitter、Instagramなどで「いいね!」やコメント、シェアのように生活者が能動的に行ったアクション数を示す数値だ。
「昨年、大ヒットした映画『君の名は。』は、ファンが反応するコンテンツがソーシャルメディア上に投下され、公開前から大量のエンゲージメントを生んだことであのヒットにつながった。ブランドに関係するエンゲージメント要素(ターゲットに共感され話題になりやすい要素)をソーシャルメディアから収集、分析し、それを活かすことでシェアしたくなるコンテンツが作れる」
そのためには、ソーシャルリスニングなどの手法を用いて、企業やブランドに関わるどんな情報が話題となり、シェアやエンゲージメントされているのかを探ることからコミュニケーション設計を始めることが有効とした。
また、講演の最後で、ファン化を促進していくコンテンツとして「コア動画」を紹介。一般ユーザーに加え、社内の人間やその家族など、企業やブランドにとってコアな関係性の人々がエンゲージメントするコンテンツを提案。それが、外部での評判形成にもつながり、力強いエンゲージメントを生むと話した。
「社員の情報発信が外部の評判形成を生み、エンゲージメントにつながっていく。国内でもスタートアップ企業は、インナー向けの動画を外部向けにもフル活用して評判形成するケースが増えている。ブランドにとって最もコアな人たちの間で評判形成される動画も、今後は大事になるだろう」
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