第2部:生活者とブランドを繋ぐブランデッドムービーのクリエイティブノウハウ
ゲスト:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア チーフ・プロデューサー
FROGLOUD 代表取締役 諏訪 慶 氏
第2部は、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの諏訪 慶氏を迎えての対談となった。ショートショート フィルムフェスティバルは、1999年創立の米国アカデミー賞公認の映画祭。国内外あわせて5万人のクリエイターとのネットワークを持っている。
諏訪氏は、ブランデッドムービーの定義を、「生活者にとっての価値と、企業側のブランド理念やメッセージを両立した映像」とした。その上で、ムービーというフォーマットがブランディングに効果的な理由について次のように話す。
「ブランデッドムービーは、企業にとって名刺のような存在。広告主が伝えたいメッセージや哲学をキチンと伝えることで、視聴者は感動や共感を覚える。その先にあるのがエンゲージメントだ」
それでは、ブランドのコアをどのようにクリエイティブで表現すればいいのか。諏訪氏は次のように話す。
「一番重要なのは、企業が表現したいコアの部分をプロデュース陣が理解すること。それができれば表現方法はできる限り、クリエイターに任せるのが最善の策」(諏訪氏)
一方で、物延氏は伝えたい内容を解析することが重要だと話す。
「伝えたい内容を、できるだけシンプルにすること。いろんな要素がある中で何を一番伝えたいのか限定し、メッセージを絞り込むことで、作品に強く反映される」(物延氏)
その後、実際のブランデッドムービーを基にいくつかのポイントが紹介された。
「よくあるのは、テレビCMの15秒や30秒の尺に収まりきれなかった要素を詰め込んで長尺化しただけのムービー。それでは情報量が多く、伝わらないことが多い。逆にソーシャルメディアでシェアされる短尺の場合は、タイムラインに適した流れを考える必要がある」(物延氏)
「ストーリーラインを伝えるために、映画監督を起用することに価値がある。キャスティングや冒頭のインパクトも凄く重要」(諏訪氏)
Web動画の特性として、開始後5秒のアテンションが得られなければ、すぐに離脱される。スマホのマナーモード視聴も考慮して、日本語テロップを流すなど、工夫したことでクリック率は4倍、シェア率は3倍、商品の利用意向も66%上昇した事例が紹介された。
とはいえ、再生数だけではブランデッドムービーの真価ははかりきれない、と両者。最終KGIや目的に対してどう評価していくのか、評判形成もあわせて数字に寄与している成果をはかるための、あらたな評価基準が必要との意見が出された。
第3部:PRやSNS上でのブランディング施策の『売上』への効果を可視化する、ROI分析プラットフォーム『THINK』のご紹介
登壇者:スパイスボックス 副社長 物延 秀氏
第3部は、物延氏が改めて登壇。スパイスボックスのソリューション「THINK」を紹介した。これは、これまで効果計測が難しかった“Web上のブランディング動画”や“オフラインのPRのイベント”など、あらゆる広告施策の「KGI(売上など)」への貢献度を明確化するROI分析プラットフォーム。統計解析手法を用いて各広告施策による売上予測などを可能にし、PDCA運営を支援する。
「受注、エンゲージメント数、サイトの流入数、PV数、GRPなど複数のデータの相関分析を行い、各施策のKGIへの影響度が確かめられる」
そこから得られた数式を基にシミュレーションを行い、新たなオリジナルのファネルが策定できる。たとえば、KGIを「商品の購入数」においた場合、KGIにもっとも影響力の大きい施策(TVCM、Webプロモーション、PRイベントなど)が何か分かり、KPI(視聴率、PV、エンゲージメント数など)設計もしやすくなる。
「重要指標になるものが分かれば、過去データから算出した式に基づいて、施策の予算配分が決められる」
ブランドが持つストーリーが生活者の選択を左右するようになった時代。そのストーリーをいかに消費者に届く形で設計していくのか。今後はそうした試みに、各社がますます力を入れることになりそうだ。
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