クリエイティブプロデューサーがプロジェクトの中心に
さらに、クリエイティブプロデューサーの存在とアウトプットの質の高さも大きな強みだ。「クリエイティブプロデューサーがクライアントと何度も顔を合わせ、深く課題を理解してからクリエイティブのチームが動く流れができています。そうすることで、クライアントの考えを効率よくクリエイティブに反映することができます」と市川さんは話す。案件の中心にクリエイティブプロデューサーがいることでクライアントとクリエイティブチームのコミュニケーションが円滑になり、アウトプットの完成度や仕事の楽しさにつながっている。
Perfumeを起用したサンスターのオーラツーのキャンペーンでは、「単に商品のターゲットとの親和性でPerfume を起用するのではなく、オーラツーのブランドに資産が蓄積されていくように企画を考えました」と市川さん。商品パッケージと衣装に使われているパターン柄を共通にし、すべてのタッチポイントにおいて、同様の柄を徹底的に露出。結果、Perfumeとこの柄を見た人の多くがオーラツーを想起するようになった。話題性の爆発力とブランドパーセプションの構築を掛け合わせる設計がその要因だという。その後のシリーズでは商品開発の段階から携わっている。
一方、洋酒ブランドのバカルディでは、kiCkが広告コミュニケーションのローカライズを担当する。昨年末にkiCk に入社し、同社を担当するアートディレクターの能智雄大さんは、「バカルディはグローバルでクリエイティブの統一を徹底している中で、こちらからの提案も受け入れてもらえています」と明かし、現在はカクテルのメニュー開発にも関わっている。
能智さんと同じく昨年よりkiCkに加わり、クリエイティブプロデューサーとして活躍する山本愛さんは、「コミュニケーションに困ったときに相談できる会社として、kiCkを思い浮かべてもらえるようにしていきたい」と同社について話す。クライアントと共に考え、クリエイティブに反映させることで関係値を醸成し、次の仕事につなげていくのがkiCkのスタイルだ。
広告だけにとらわれない取り組み
現在はクリエイティブを広告のみととらえず、自社ブランド開発・新規事業にも取り組んでいる。「我々kiCkの名前は、世の中の常識や既成概念を“蹴破っていきたい”という思いからきています。スローガンはルート66の標識に記されている『GET YOUR KICKS!』。『ワクワクしていこう』という姿勢を表明しています」と藤川さんは話し、今後はこの思い自体をブランド化していくという。その第1 弾の自社プロダクトとして、オフィスを訪れた人や出会った人に渡すことができる商品を開発している。
新しい取り組みをする上では、職種は肩書にしかならず、それぞれの領域を“蹴破り”ながら全員でアイデアを出し合う。自社サービスなども充実させていきつつ、メンバーそれぞれが“ワクワクする”ことを実現するために、事業の拡大を計画している。
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kiCk inc.
http://www.kick.co.jp