オランダのクリエイティブ人材を輩出する教育機関「メディアラボアムステルダム」

とにかく早い「リサーチ」「プロトタイプ作り」「実証実験」のサイクル

私が参加したチームの課題は、「アムステルダム市の粗大ゴミの回収を、どうしたら効率よく行えるのか」というもの。日本から観光などでアムステルダムに来た人が驚くのが、道のいたるところにベッドやソファなどの粗大ゴミがむき出しに捨ててあること。これをいかに効率よく回収して、クリーンでサステナブルな街にするのかというのが課題でした。

3週が1タームなのですが、各タームで何かしら1つ以上のプロトタイプを作りプレゼンします。「再プレ地獄」とは違いますが、これはこれで結構なハイスピードです。

私たちの提案先は、アムステルダムで最もクリエイティブな組織であるアムステルダム市。ですから、毎回のプレゼンの返しが刺激的でした。日本にいた時にも行政と仕事をさせてもらった経験は結構あるのですが、そうした経験と比べて一番の違いはスピードでした。

アムステルダム市への提案の様子。

そもそもデザインシンキングにおいては、実際に手を動かし、とにかくプロトタイプを作って、実験をする。そして、このサイクルを高速で回していくことが重視されるのですが、それに輪をかけて早いのがクライアントの判断。その場で、ほぼ即決で物事が決まって行く様は、感動的でもありました。

もっとも一度決めたこともダメだと思ったら、すぐ辞める。ここも早かったのですが…。

チームでのプロジェクトの当初は、ガチな喧嘩があったりしてメンバーがバラバラでした。ただ徐々に個人の性格や国民性も分かってきて、最後はいいチームに。プロジェクトを効率的に進め、オフの日を作って、みんなで遊園地に行って自撮りしまくったりと学生ノリ全開の良いチームでした。

結局、私たちのチームは最終的に、ステッカーを貼って回収してもらう「日本式粗大ゴミ回収システム」をアレンジして提案。QRコードを使ってデータ管理ができるようにしました。それがアムステルダム市に大いに気に入られました。そして、アムステルダム市が主催する「スタートアップレジデンス」というスタートアップ養成プログラムに即決で採用。もしかしたら、近い将来、アムステルダム市の粗大ゴミ回収のやり方は日本と同じになるかもしれません。

提案した「Tag it!」のデザインラフ

次ページ 「世界のクリエイティブをリードするアムステルダム」へ続く

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吉田和充
吉田和充

吉田和充(Creative Business Development/Branding Designer/Creative Director/保育士)
1972年東京生まれ。1997年慶應義塾大学卒業後、博報堂入社。CMプランナー/ディレクターとして、40社、400本以上のCM制作を担当。ACCグランプリ、コピー賞などを獲得。
在職中に1年間の育児休暇を取得し、家族でアジア放浪へ。2016年、子どものクリエイティブな教育環境を重視してオランダへ移住。2017年現在、Neuromagic Amsterdam BV CEO、個人事務所SODACHI CEO、STYLA TOKYO クリエイティブディレクター。広報広告全般からマーケティング、企業の成長戦略策定、ブランディング、新規事業立ち上げ、新商品開発、Web制作、サービスデザイン、海外進出などクリエイティブ業務全般を担当。
アムステルダム市との協働プロジェクトとして、アムステルダム市の「粗大ゴミの処理問題」にも取り組む。
元サラリーマンクリエイターの海外子育てブログ『おとなになったらよんでほしい|おとよん』連載中。

吉田和充

吉田和充(Creative Business Development/Branding Designer/Creative Director/保育士)
1972年東京生まれ。1997年慶應義塾大学卒業後、博報堂入社。CMプランナー/ディレクターとして、40社、400本以上のCM制作を担当。ACCグランプリ、コピー賞などを獲得。
在職中に1年間の育児休暇を取得し、家族でアジア放浪へ。2016年、子どものクリエイティブな教育環境を重視してオランダへ移住。2017年現在、Neuromagic Amsterdam BV CEO、個人事務所SODACHI CEO、STYLA TOKYO クリエイティブディレクター。広報広告全般からマーケティング、企業の成長戦略策定、ブランディング、新規事業立ち上げ、新商品開発、Web制作、サービスデザイン、海外進出などクリエイティブ業務全般を担当。
アムステルダム市との協働プロジェクトとして、アムステルダム市の「粗大ゴミの処理問題」にも取り組む。
元サラリーマンクリエイターの海外子育てブログ『おとなになったらよんでほしい|おとよん』連載中。

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