「顧客満足」が経営目標のひとつとして掲げられ、全社を挙げた顧客視点の実践を目指している日本航空(JAL)。
マーケティング活動においても、この指針は徹底されている。コンテンツの企画・制作を軸に企業のデジタルマーケティングを支援するクオントとのコンテンツマーケティングの取り組みをケースに、顧客視点を実践する最前線の取り組みを追った。
—JALでは「顧客満足」を重視したマーケティング戦略を進める中で、なぜコンテンツマーケティングという手法を選ばれたのでしょうか。
深田:当社では3つの経営目標のひとつに「顧客満足」を掲げ、その実践に全社を挙げて取り組んでいます。「本当に私たちは、お客さまに真剣に向き合えているのだろうか?」という問題意識がこうした方針に至った背景にあります。
私どもの部署は2012年に立ち上げられたのですが、社内横断的にお客さまに寄り添い、向き合うマーケティング戦略を企画することに、その役割があります。お客さまのニーズは多様化していますので、マーケティング活動においては、一人ひとりのお客さまに寄り添って考えることが必要です。お客さまにとって価値ある提案とは何か。
部の立ち上げ以来、そこを一番大切にしてきました。そのアプローチのひとつとして、コンテンツマーケティングにも関心を寄せるようになりました。
足立:JAL様から2016年にコンテンツマーケティングの取り組みを始めたいということで、お声がけいただきました。
—なぜ、コンテンツマーケティングに関心を持たれたのでしょう。
深田:技術革新によって、一方的なアドバタイズから、双方向のコミュニケーションが実現できる中で、お客さまにとって、お役に立てる、価値のある情報を提供することが重要であると考え、コンテンツの活用を思いつきました。
また現在の市場環境では機能・性能による差別化以上にJALという会社自体を好きになってもらうことが、選ばれ続けるエアラインとなるために重要だとも考えています。その意味で、コンテンツマーケティングはお客さまと接点をつくるためのアプローチのひとつであると同時に、お客さまに寄り添うサービスのひとつだという捉え方をしています。
—プロジェクトはどのように進んだのでしょう。
深田:プロジェクトのスタートは2016年の11月です。ポイントはこのプロジェクトにマーケティングやプロモーション関係の部門だけでなく、社内の旅客事業に関係する部門の社員、約30名に参加をしてもらったことです。参加メンバーを4つのワーキンググループに分け、クオントさんに入ってもらいながら、週に1回のペースで集まり、コンテンツづくりに必要なペルソナのつくり込みや訴求内容の検討、企画やタイトルの深掘りの仕方などを考えていきました。
足立:今回は、マーケティング施策としてのパフォーマンスの最大化というより、コンテンツマーケティングの有効性についての検証が大きな狙いと伺っていました。私たちにとっても、これまでにない取り組みでした。
深田:当社にはサービスメニューや技術などお伝えしたいことがたくさんありますが、どのテーマをどのような方にお伝えしたら、喜んでいただけるのかを検証したい。さらにコンテンツの制作・配信を通して、お客さまからの期待を各事業部の社員に肌で感じてもらいたいと考えていました。
足立:テーマを絞り込んだ後は、記事を作成して配信するわけですが、その後も、どのような属性の方々の読了がより進むのかなど、皆さんと一緒にデータを見ながら、次の企画に生かしていきました。例えば、小さなお子さまをお連れの方の搭乗プロセスについて解説した「スマイルサポート」の記事では、お子さまがいらっしゃる方とそうでない方では読了率がどのように遷移するかを追い、どういう内容で打ち出すと、より伝わるかなどを検証しました。
深田:テーマを絞り込む上では、それぞれの部門がお客さまを想って考えているこだわりを、かなり掘り下げてクオントさんにお伝えする工程を踏まえたのですが、非常に丁寧に聞いてくださいました。航空会社のスタッフとは異なる立場の視点が入ることで、お客さまが本当に求めていらっしゃる価値が何かをあぶり出すことができたので、たくさんの気付きが得られました。またデータ分析においても新鮮な切り口で結果を提示していただき、プロジェクトメンバーの興味も高まり、その結果、理解も進みました。
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