50歳、60歳のWebディレクターが活躍する業界にしたい
中村:Webディレクターのキャリアアップの話をすると、プランニングが得意な人であればプロデューサーに、一方でマーケティングが得意な人なら事業を始める、さらにマネジメントが強ければマネージャーや人事になれるかもしれないと思います。
高瀬:僕らの仕事は、専門職でありながら、知識の幅が広いため「総合職」の要素を持っていますよね。今後は、どのような業態でもITが企業活動の中心にくるので、人材としての需要は計り知れないと思っています。そういう意味では、可能性がある仕事だと思います。
田口:Webディレクターの「Web」が、別の何かに置き換わって色々な分野でディレクションをするということもありえるかも。例えば、映画監督がいきなりWebディレクションをできるかというと難しいと思うのですが、逆にWebディレクターであれば、映像がつくれる人やシナリオを書けるライターをハンドリングできるという意味で、“映画っぽいもの”を一応の形にできるかもしれない。同時に、プロモーションも考えられる。
中村:たしかに名作と言われるような映画を撮るのは難しいけれど、興行成績を考えた上で赤字にならない映画は、つくれる可能性があるかもしれない。
ハブとして存在しているWebディレクターは共通言語として技術ではなく、費用と時間を用いるので、今後は他の分野でも通用するというスタンスを獲得できると思います。
田口:先ほど、「ディレクター=監督」という点から例に挙げた映画監督との大きな違いは、後世に残るような作品をつくることが難しい点かなと。そう考えると、Webディレクターの次のステップは、依頼者であるクライアントと共に、世の中や社会に良い影響、良い変化を与えるようなコンテンツを生み出し、送り届けることかもしれません。それは、下請け体質というか、受け身姿勢で仕事をこなしているだけでは成立しないことですね。
高瀬:最近は、Webディレクターと近接した役割として、プロダクトマネージャーという肩書きがIT業界で流行っています。要は、Webサービスのマネジメントをしているのですが、例えば「すごく流行っている、あのアプリのプロダクトマネージャーをやりました」というのは、ひとつの大きな実績かもしれないですね。
田口:Webディレクターは、このままだと「Webの便利屋」になってしまうのではという危機感を持っています。 つまり、ただ存在しているだけでは価値を示しにくい立場ではないのかなと。その状況下で「60歳の専業Webディレクター」は、さらにイメージしにくいと思う。
高瀬:たしかにグラフィックにしろ、建築にしろ、50歳や60歳の大御所がいますよね。でもまだWeb業界には60歳の大御所がいない。Webはインターフェイスが変わる業界なので、将来的にはモニターさえ無くなることがありえる。
移り変わりが早いので、どうしたって年齢的な上限が他の業界より早いはず。個人的には現場のディレクターとしては40歳が限界だと思っていて、20代のイキのいいディレクターとは戦えないと思います。
田口:でもやっぱり20年後に、50歳や60歳のWebディレクターのニーズがない世界にはしたくないですね。その年齢、そのキャリアだからこそできる価値提供もあると思っています。
高瀬:そこで必要になるのが、やはり事業理解だと思います。少なくとも40歳までに事業をきっちり把握できるようになって、その先に行くことが大切だと思います。
中村:現在はWebを理解している人と、そうでない人を共通言語で繋げていくことが一般的なWebディレクターの役割になっていますが、今後は自分からプロジェクトを引っ張っていくこともできると思っています。
新しいインターフェイスが出現し、消費者が親しむようになり、そこに企業が投資したいと思っても、プロジェクトをまとめてくれる人がいないと、実現はできないはずです。そうした新しい領域に、Webディレクターの進む先があると思っています。
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