“逆境請負人”
ほとんどのみなさま、はじめまして。
博報堂のクリエイティブディレクター河西智彦です。
この度、「逆境におけるアイデアの出し方」をまとめた本を書きました。僕は、閉園間近の「スペースワールド」や「ひらかたパーク」など、「逆境」に置かれている企業・団体のV字回復を狙った広告を引き受けることが多く、“逆境請負人”という恥ずかしい呼び名をいただきました。
そんな僕は、博報堂に入社後7年間、営業マンとして働いていました。実は、クリエイティブ適性試験に2度も落第し、会社の歴史で初めて3度目でやっと合格できた人間なのです。つまり、僕には先天的な発想力などなかったということになります。でもそこから、「逆境」でも効果を発揮するアイデアを考えるほど成長したという事実が、「発想力は後天的に伸ばすことができる」という証明です。
このコラムでは、追い詰められている会社や人、発想力を身に着けたいクリエイターなどに向けて、「逆境」から脱出し、成功に導く方法をお教えします。
逆境からの脱出には、売上げ増からの逆算が大事
「逆境」とはどのような状態のことでしょうか。
僕の定義は、決定的に何かが「ない」状態です。もちろん、広告予算や制作時間が「ない」ことが基本的な逆境です。また、広告予算はあっても売上げが「ない」(下がっている)状態も逆境で、社内の意思統一が「ない」逆境や、ローンチに際して明るい見通しが「ない」逆境もあります。
でも、僕が手がけた仕事のように、予算規模や企業の大小に関係なく、逆境を跳ね返すことができます。
さまざまな“逆境”を救うには、とにもかくにも「結果」を絶対に出すこと。そして「結果」とは「売上げを増やすこと」に他なりません。
広告予算はなくても、売上げが増えた。
制作時間がなくても、売上げが増えた。
ローンチに不安はあっても、売上げは増えた。
当たり前と言えば当たり前ですが、企業の経済活動を支える広告において「売上げが増える」ことは絶対的な正義です。
売上げが増えることで、各部署の反対がなくなったりします。得意先社内の空気も良くなります。クライアントと代理店に成功の共体験ができることで信頼が生まれ、その結果、ますます売上げが増えたりもします。
全国展開のクライアントであっても、地域のクライアントであっても、規模の大小を問わず“逆境”からV字回復するには「売上げを増やす」ことが重要なのです。そしてそのためには、「売上げが増える」から徹底的に逆算しながらインパクトのある広告をつくる必要があります。