「中高生部門」審査員長の渡辺潤平さんと、特別審査員の私立恵比寿中学(エビ中)・小林歌穂さんに、「いいコピーとは?」「いいコピーを書くにはどうしたらいい?」といったことをテーマに語り合っていただきました。
甘やかされて育った人に、いいコピーは書けない!?
—小林さんは、エビ中メンバーの中でも「言葉」や「広告」、「表現」といったことに興味があったり、得意だったりするのでしょうか。
渡辺:表現のセンスは抜きん出ていますね。独特の世界観を持っています。昨年と今年、「コピーの授業」(※注)に参加した4人のメンバーの中から一人、特別審査員を務めてもらおうという話になったとき、僕とマネージャーさんの間で「ぽーちゃん(小林さん)がいいんじゃないか」と、意見が一致しました。成長の過程で、頭の中の地図がとても伸びやかに広がってきた、そんな感じがします。子どもの頃は、何をして遊んでいたの?
小林:一人で工作したり、絵を描いたりしていました。大きめの段ボールをガムテープで貼り合わせて「家」をつくって、その中に入ってゲームで遊んだりすることも。とにかく、いろいろなものをつくり続けていましたね(笑)。
渡辺:一人で黙々と。
小林:完成したものを家に置いておけるのは一週間だけで、それを過ぎるとお母さんに捨てられちゃうんです(笑)。つくっては捨てられ、つくっては捨てられ……を繰り返していました。
渡辺:子どもの頃、実社会に上手く馴染めていなかったんじゃないかな(笑)。というのも、僕もそうだったんです。3人兄弟の真ん中なんだけど、長男と三男の仲が良くて、僕は2人からいじめられていた(笑)。だから家に居たくなくて、家の裏にあった山の穴倉に自分の部屋をつくり、そこで絵を描いたり、レゴブロックで遊んだりしていたんです。それが今の仕事に役立っているかは分からないけれど、「自分の居場所を自分でつくる」という志向は、僕とぽーちゃんの共通点かもしれないなと思いました。
小林:私も3人兄弟の真ん中です!真ん中って、たぶん、ちょうどよく放っておかれるんですよね(笑)。
渡辺:でも、そんな環境も相まって、ちょっと“屈折して”育つことも、実は大事なんじゃないかと思っていて。持論ですが、甘やかされて育った人に、いいコピーは書けないと思うんですよ。逆境に負けずに、自分の居場所やルールを自分でつくる。そういう生き方が、「何かを発信する、表現する」仕事をする上で、役立っていることがあるような気がします。