グランプリの受賞で、伝統技能が継承されつつある!
嶋:グランプリの受賞で、社内にも何か変化はありましたか?
尾上:これまで正直、その「技」を引き継ぎにくい部分もあったんです。でも今回の受賞の影響で、ガバメントリレーションズの案件が増えてきたので、実行しながら仕組み化して、その「技」を継承できるようになってきたというか…。依頼が増えれば、おのずとチームにノウハウも経験もたまりますよね。
嶋:なんだか、伝統技能の担い手みたいですね。彼らも技術の伝承に困っていて、どうそれを継承するか困っているでしょ。会社の中で“スター”をつくっていくのも一つの手ですが、スターがやっている仕事を普遍化して、会社のサービスとしてシステム化することも重要ですよね。今回のプロジェクトでは、その両方を実現したわけですね。
嶋:PRはその目的を達成するために非常にたくさんの手口があるので、誰が何を得意とするのかということが明らかになったほうが、依頼する側も頼みやすいような気がします。上岡さん、企業の広報部のお立場からご意見をお聞かせください。
上岡:企業側としては、どのようなPRエージェンシー、あるいは総合広告会社に、どのようなPRのプロがいて、その人の得意分野をきちんと把握しているかどうかが、今後、非常に重要になってくると思います。というのも、PRに求められるスピードや成果が、自社内のリソースだけでは到底追いつかなくなってきているからです。これまでは、企業内のPR担当者が自らディレクターとなって、仕事を進めていたことが多かったと思います。当社(資生堂)もそうでした。でも今では、私は広報部員に「プロデューサーないしキャスティングの視点を持つように」と話しています。直面している課題に応じて、このスキルを持っている、あのPRパーソンと一緒にやろう、という柔軟で幅広い視点を持つことが、今後、企業のPRが進化するカギになると思います。