体験デザインの視点で見るOOH施策
今回のイベントの企画やPRを手掛けるI&S BBDO クリエイティブグループ クリエイティブディレクターの酒井隆宏氏は、「体験デザイン」の観点から、屋外広告のポイントについて次のように話す。
「忙しい人々に足を止めてもらうには、“遠くから見て分からないこと”が実は重要になります。遠目で内容が理解できると、それだけで体験した気になり、通り過ぎてしまう可能性が高まってしまいます。何があるのか分からないまま近づくと、精密な彫刻を観た時の感動が増幅される効果もあります。そのために、美術館のような仰々しい空間と「地味にスゴイ!番宣」の巨大な文字で気になる要素をつくり、人々を赤鉛筆の前まで誘導しました。また、時間がとられる予感がするコンテンツを生活者は避けがちなため、コンテンツを体験する所用時間が、最短で15秒ほどで済むものを目指しました」。
さらに同社 アカウントサービスグループ シニアアカウントエグゼクティブの加藤宏亮氏も、体験の重要性について語る。
「ドラマの世界を体験してもらうことで、来場者に“自分ゴト化”してもらえたのではないかと思います。今回の体験を楽しかったと思ってもらい、誰かに伝えたくなることが必要です。赤鉛筆を見るという体験を通じて、ドラマへの興味関心が高まり、放送内容(タイトル、放送日時)を理解してもらうことや、視聴意欲醸成へ繋げることができました」。
最後に畠山氏は、屋外広告だからこそできた企画だったと、手ごたえを覗かせた。
「ゴールデンタイムのテレビ番組を立ち上げる際に求められる宣伝のハードルは高く、テレビCMや出演者の番組稼働といった強力な告知手法と比べると、屋外広告は単体ではなかなかその効果が見えづらいところがあります。そんな中、今回は複数の話題拡散の手法を事前にプランニングの上、有機的に打ち出せたことで一つの屋外広告でリーチできる範囲が広がり、その効果を何倍にも高められました。革新的なアイデアは、なかなか生み出そうとしてつくれるものではないですが、良いアイデアが出たときにそのアイデアを救い上げ、より大きく育てる手法は、今後に生かせると思っています」。
本企画は今年7月に「交通広告グランプリ2017」において企画部門 優秀作品賞を、9月に「SPIKES ASIA 2017」のアウトドアクラフト部門にてシルバーを受賞するなど、広告業界からも注目を集める施策となった。
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