コアファンが新規の観戦者を連れてくる
葦原氏も人口減少についてはあまり意識をしていないという。
「プロバスケットリーグは、立ち上げからまだ2年しか経っていないため、カスタマージャーニーを分析できるほどのデータが蓄積できているわけでもない。ただスポーツのマーケティングにおいては、新規のファンを獲得する際に、ライトファン層をターゲットにすることが多かったが、これまでの経験から、私たちから直接、ライトファンにアプローチするより、コアファンの人たちから誘ってもらう方が、来場につながりやすいことがわかっている。そこで現在はコアファンがどこにいて、どのような情報を与えたら人を誘ってきてくれるか、という属性分析をメインに行っている」と話した。
村田氏は「バスケットボールは音楽フェスとも親和性があるのではないか」と話し、「音楽フェスとバスケットの試合を同時開催したり、駅ビルや百貨店の屋上でも観戦できるようにしたりするのはどうか」と提案をした。
横谷氏は、近年では自社がサッカーの清水エスパルスのスポンサーも行っている事例を紹介。「観戦しにいらした方たちに向けて美容イベントを開催している。お父さんと息子さんがサッカーを見ている間に、お母さんが美容のイベントに参加しているのだが、予想以上に反響がある」という。
葦原氏は「有名選手がまだ少ない」という課題も明かし、「田臥勇太選手は30%ほどの認知度があるが、ほかの選手の認知度は高くないため、2年目以降は選手を個としてどう売り出していくかも課題。NBAクラスの選手を輸入するには事業規模も現状の数倍〜数十倍にしていかなければいけない」と話した。今後新たなコラボレーションが生まれ、ジャパン・プロフェショナル・バスケットボールリーグはどう盛り上がりを見せていくのだろうか。
異業種“マーケター”のハイブリッドを目指す
会の終盤、横谷氏は「今までは、商品やサービスをつくるなかで会社の課題解決をしていたが、今後は会社の持つ財産を生かして、どう課題解決をしていくか、まで考えていかなければいけないと思った」と気づきを話した。
村田氏もまた、「アパレル業界は厳しいという話がよく出るが、業界内の常識や手法だけでは乗り越えられない。他業界の方達から話を聞くことが重要」と同調。葦原氏も「スポーツ業界だけ見ていては行き詰まってしまうため、成功体験を持っている異業種の方達から話を聞き続けることが課題解決の鍵になる」と話した。異業種からの意見を受け、新たな課題や発想が浮かび上がったようだった。
研究会を終え、加藤氏は「デジタルプラットフォームはマーケターにとって欠かせない状況になってきている。『ハイブリッド』、『横断』が今回のディスカッションのテーマになった。マーケター同士が組み合わさると業界を超えたハイブリッドな組織になると思う」と話した。
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