ハヤカワ五味が考えるアンパンマンと広告のこと
ハヤカワ五味:あと、コミュニケーション事例ってことではないんですけど、最近すごく気になってることがあって。
YouTubeのアンパンマンの動画に対して、おそらくちっちゃな子どもが打ったであろう、日本語になっていない日本語のコメントがついているものが、めっちゃツボで……しかも、時々会話みたいになってるものもあるんですよ! 結構、探すのが大変なんですけど、見つけるとスクリーンショットも撮っちゃう。多分、親が子どもをあやすためにスマホとかタブレットとかを持たせてるんですよ。
でも、それくらい小さな頃から、当たり前にスマホを触っている世代がマスになってきたら、私たちはどうなるんだろうって思って。
—僕たちもデジタルネイティブなんて呼ばれることもあるけど、さらに下の世代は生まれながらにしての「デジタルネイティブ度」が全然違いますよね。
ハヤカワ五味:3つ下に妹がいるんですけど、正直、妹の言ってることがたまにわからないですもん。上は10歳差から下は3歳差くらいまでだったらなんとなく感覚でわかるんですけど、それより下の世代の言っていることは、本当に「は?」みたいな(笑)。
—ハヤカワ五味さんでも「は?」って思うことあるんですね。
ハヤカワ五味:ちょっと前ですけど、「MixChannel」にカップル動画をあげるっていう文化、これがわからない。確かに、中高生時代ってめちゃくちゃ自由な時間があったけど、なんでその時間を動画編集とか、生配信に費やそうとするのか理解できず、すごい時代だなって思ってしまいます。
あと、お金の払い方も変わってくるだろうなって。最近はマンガも、スマホを使えば無料で読めるじゃないですか。私たちはもともとお金を払ってコミックスなんかを買ってたことが前提にあるけれど、多分、私より5歳くらい若いと、普通にYouTubeで音楽が聴けるし、マンガも無料アプリで読める。だから、それらのコンテンツに対してお金を払うハードルが結構高くなる。でもその一方で、逆にソーシャルゲームはもともと課金する前提だから、最初から気軽に課金できる、みたいな。だから、「マンガの単行本」の400円と、「ソシャゲ課金」の400円とでは、同じ金額なのに圧倒的に中身は違う気がしてるんです。
服はまだいいですよ。ずっとお金を払うものなので。ただ、単価として安くなってきてますけど。
—確かに、将来下の世代が社会に出てきたとき、どうなっていくのか、不安とワクワク感が入り混じりますね……。最後に、U30の若手で同世代のハヤカワ五味さんから、これを読んでいる広告業界の若手に向けて一言いただけますか?
ハヤカワ五味:広告っていうけど、もう広告の域を超えて、コミュニケーション全部じゃないですか。となってくると、経営に近いものが出てきていると思うし、もう少しエンターテインメントにも近いものもあるかもしれない。だからきっと、専門的にやっていくのも一つだし、幅広く全部やっていくという選択肢もある。
超しんどいジャンルだとは思うし、虚業的な言い方をされることもあるかもしれないけど、逆にいうと、コミュニケーションってそれだけ世の中に当たり前のように浸透している空気みたいなもので、そこは仕事としてとても羨ましい部分です。私は「ウツワ」の経営を通じて世の中の仕組みを考えていくので、ぜひ一緒に、昨日より幸せの総量が増えるようなモノ・コトを考えていきましょう!
—素敵なメッセージありがとうございます。業界の壁を超えて一緒に頑張っていきましょう!
ハヤカワ五味
1995生まれの22歳。東京出身、多摩美術大学グラフィックデザイン学科4年/広告専攻、株式会社ウツワ 代表取締役。 高校1年生の頃からアクセサリー類の制作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を受験の傍ら行う。大学入学直後にワンピースなどの《GOMI HAYAKAWA》、2014年8月には妹ブランドにあたるランジェリーブランド《feast》を立ち上げ、2016年夏には累計販売枚数1万枚突破。
この記事は以下のICAワーキングメンバーがインタビュアーを務めています。
折茂彰弘(マッキャンエリクソン プランニング本部プランナー)
2015年マッキャンエリクソン入社。プランナーとして日系・外資問わずさまざまな企業の戦略立案、ブランディング、コミュニケーションデザインを担当。
第3回よりICAワーキンググループに参加。