SDGsの達成を「カルネコ・モデル」や「EVI」で 目指す

森林再生に取り組むEVI

2011年3月には、森林事業者、企業、消費者を結ぶ環境貢献プラットフォームの「EVI(Eco Value Interchange)」も開始しています。日本の木材自給率は1955年には94%でしたが、現在は33%に低下しています。2011年には、26%まで下がりました。日本の面積全体の67%が森林であるにもかかわらず、木材自給率はこれだけ低いのです。

森林は日々、CO2を吸収し、それを酸素に変えて空気を浄化してくれます。これは地球温暖化抑制のために重要ですが、木を売って収入を得られなければ林業は成り立たず、森林は荒廃します。

国は2008年3月、国内の温室効果ガス排出削減・吸収を促進するための「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を創設しました。これによって、国内のプロジェクトで実現された温室効果ガスの排出削減・吸収量が、クレジットとして認証されることになりました。この制度はその後、「国内クレジット制度」と統合され、「J- クレジット制度」として運営されています。

制度の創設に際して補助金が出されたこともあり、森林保全に必要な副収入を得ようと、多くの森林でクレジット創出の取り組みが始まりました。そして、2014年8月までに69万tものクレジットが創出されたのですが、実際に売れたのは全体の 15.3%だけでした。

このような状況を知り、私たちは、より多くのクレジットを売って森林保全につなげようとEVIを開始したのです。EVIは企業が森林事業者からクレジットを購入し、自分たちの企業活動に伴うCO2排出を相殺する「カーボン・オフセット」を促進する仕組みです。

EVIを立ち上げた2011年3月以降、この仕組みを通じて約6500tのクレジットが購入されました。当初は8つの森林のクレジット販売を支援していましたが、この森林数は現在、90に増えています。1団体で支援している森林数やクレジットの販売t数としては、日本一と評価していただいています。

しかし、69万t創出されたクレジットのうち 84.7%に当たる40数万tが売れ残ったわけですから、私たちが支援できた販売t数はわずかです。今後は販売できるクレジットを月1000tにし、さらに月 1 万tへと増やしていくための努力を続けます。

国内の森林保全では、国産材を活用した商品を、より多く販売することも重要です。このため、それらの商品を販売する「森のめぐみのおとりよせ」という通販サイトも開設しました。このサイトでは、売上の 1%をクレジット購入に回しています。

EVIについては、環境貢献型プロモーションのプラットフォームとして認知が進んでおり、2015年には「第 5 回カーボン・オフセット大賞」の特別賞も受賞しました。また、一般の方々にも広く活動を知っていただくため、毎年 10 月には東京・有楽町で「EVI環境マッチングイベント」を開催しています。

次ページ 「「道の駅ネットワーク」で CO2削減や地域活性化」へ続く

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