スマートスピーカーも登場。IoTの進化でマーケティングは、どのように変化するのか?

IoTのメリットはスピーディなフィードバック

私が所属しているニューバランスでは、IoTの導入はR&D分野が担当しています。われわれの言葉では「Data To Design」になります。センサー技術の発達によって、より使用状況に近い場面で(テストのための実験室的なデータ収集ではなく)、フットウェアやアパレルウェアが運動中にどんな負荷がかかっているのかをセンサーで把握し、それを元にデザインに活かすということができるようになりました。

単にR&Dでの活用という意義だけでなく、製品の使用状況をモニタリングすることで、問題を解決する手段を、製品開発段階にスピーディにフィードバックするプロセスだと考えています。

製造業にとっては、コストや時間がかかり過ぎて断念されていたことですが、センサー自体が小型化し軽量化されて安価になることで、可能になっています。特にIoTは、データ収集や分析から、従来の伝統的な製品形態や構造を見直すことが可能です。

例えば、椅子やテーブルは構造上、4本の脚が付いています。しかし、それらが実際にどのように人間の身体を支えたり、使われたりしているかというデータを収集することで、全く新しい形状やデザインが可能になるかもしれません。

これらは物理的な構造がもともとあった物を組み合わせて出来ているので、使用状況をもとに最適化されていない、未だ満たされていないニーズをもとに改善が可能であるからです。今まで費用が掛かるという理由でデータ収集が不十分であった農業などの分野にも活用できるでしょう。

また、デザインのように伝統的な製造業のプロセスに限らず、IoTが消費者のデータをモニタリングできるようになれば、製造業の未来では製品を使用することをメインに考えるサービス自体が設計可能になるので、無駄なパッケージングやマーケティングをせずに、消費者と直接つながったサブスクリプションサービスの設計も実現できるようになると思います。

つまり、買ったり、所有したりすることよりも、ユーザーの目的に近いところで価値を向上するビジネスモデルが描けるはずです。具体的には、ユーザーが走りたいときにだけシューズやウェアが用意されたり、収集したデータをもとに新しいシューズが届いたりするサービスです。

次ページ 「どうすればIoTが発展するか」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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