現代の女子たちが“インスタ映え”したい理由は、承認欲求だけなんかじゃない

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インスタ映えしたい理由は「SNSは思い出アルバムだから」

最近は、誰かと美味しい食事に行っても「このお店、すごくインスタ映えするんじゃない?写真撮る?」と言われるようになりました。旅行に行っても「ここインスタ映えしそう!写真撮りなよ!」などとも言われます。

一方で、いろんな企業が「インスタ映えをすることやりたい」としきりに言うケースも増えました。最近は、オフラインのイベントに行くと、いたるところにフォトスポットがあったりします。

りょかち
1992年生まれ。京都府出身。IT企業の社員として働く傍ら、通称「自撮ラー」を名乗り、SNSに自撮りをアップし続ける自撮り女子。若者文化やセルフィーアプリに関心を持ち、インターネット文化についての取材も多数受ける。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。ツイッター: @ryokachii

そんな現状を見て、「インスタ映えばかり意識している人は大変そう」「インスタ映えを意識するプロモーションにはうんざり」と、批判をする人も。気持ちはわかる。だけど、“インスタ映え”とは、ただ誰かの承認欲求を満たすためだけに必要なモノではないと思うのです。

恋人や家族とのかけがえのない時間や、友だちとの忘れられない思い出……。昔の思い出を振り返る時、私たちはどうしているでしょうか。

実家に帰ったりすると、自分の小さい頃の写真がアルバムとして残っている、という人が多いのではないかと思いますが、このエピソードからもわかるように、若い人に限らず、私たちはいつも“写真”で思い出を振り返っているのです。

そしてもはや、日常の写真は“スマホカメラ”で撮影する時代。私たちは思い出をアルバムではなく、スマホの中のカメラロールに残しています。

そして、楽しい時間やイベントや旅行に行ったときの記念写真は、SNSにアップしておくのが、今や無意識に行う日常的な動作となっている。

先日、友人から結婚の知らせを聞いて、彼女との思い出を振り返っていましたが、主に見ていたのはInstagramとFacebookのアルバムでした。2人で画面を見せあっては、「なつかしい〜〜!!」と盛り上がったりしました。

さらに、アルバムにどうせ貼るなら“いい写真”がいい。どうでもいい写真を何枚も貼っていくのはアルバムではありません。

そんな、思わずアルバムに残しておきたくなるような“いい写真”を撮る仕掛けが“インスタ映え“アイテムであり、フォトスポットなのではないかと思います。

私たちは、ただ一方通行に流れる時間のフロー情報としてInstagramに写真をアップしているわけではありません。Instagramにあげた写真を、私たちは何度も振り返る。今やInstagramは、思い出の記憶に多大な貢献をしています。

私たちの記憶装置の重要な一つなのです。だからこそ、素敵な思い出づくりとしての“インスタ映え”を私たちは求めています。

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りょかち
りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

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