動画へのこだわりは“1点突出”
—確かに動画投稿者は増えてますもんね。そんな誰もが動画をアップロードしやすい環境のなかで、「いいもの」をつくるために大切にされていることはありますか。
ハセシン兄:KPIと言ったらおかしいですけど、「いい物ライン」みたいなものは意識してます。たとえば、「スコアはよくないんだけど、普段ではあり得ないようなシーンが撮れた」というように、必ずひとつは自分たちで見て、「いいな」と思えるラインを超える「見せ場」をつくるようにしてます。
「見せ場」と言ってもいろんなポイントがあって、すべての基準をクリアしてないといけないってわけではなく、何かひとつでも飛び抜けたものがあれば、いいなっていう感じ。
その辺りのジャッジは、あまり言語化していません。肌感覚で、これだったらいいんじゃないかなっていう動画をアップロードしています。長年続けて目も肥えてきているはずだと自らを信じて。(笑)特にそのラインは、弟(ハセシン)の方が鋭いと思います。
—目を肥やすという意味だと、他の人の動画なんかも見るんですか。
ハセシン兄:周りはどんな感じで動画出してるのかなっていう程度にはチェックします。重なってしまうと申し訳ないなっていうのもあるので。
ただ、あまり意識はしないで、基本は自分たちが求めるものを出せたらいいよねっていうスタンスでやってます。そうやって続けた方が逆にオリジナリティーが出るような気もしていますし、ゲーム自体、真似してできるようなものでもないので。全く同じ試合を2試合やれって言われてもできないですしね(笑)
—他の投稿者に関してお聞きしましたが、視聴者に対しては、動画をつくる上で意識していることってありますか。
ハセシン兄:さっきと重複しますけど、動画内に突出した部分をつくるってことかな。あとは編集するときにそこまで高度なことはやらないようにしてます。これは全く予想していなかったことなんですが、自分たちの動画にはそれぞれオープニングをつけていて、最近ではそれをまねしてくれる視聴者が増えてきました。Windowsムービーメーカーなどの標準ソフトでつくれる簡単なものにしたからこそ、その拡張性が功を奏したかなという…。
あとは機材の話もそうですが、視聴者と同じ目線でやるっていうのは大切にしてます。
実況では、家庭用の普通のテレビと普通のコントローラーでずっとやってます。弟(ハセシン)本人もそっちの方がやりやすいっていうのもありますが、視聴者と同じ環境、同じ目線でやることで常に視聴者と近い距離にいたいという思いがあります。
—ハセシンさんの話題も出ましたが、動画投稿はどういう役割分担になっているんですか。
ハセシン兄:基本的には、機材含め、弟(ハセシン)が1人で回せるような環境になっています。サムネイルとかも本人が40分くらいかけて毎回つくってます。
サムネイルは、一番最初のタッチポイントなのでそこはいつも頑張ってますね。
文字が見やすいようなレイアウトだったり、キャラクターの配置の仕方だったり、本当にシンプルなことですが。あとはスマホの画面の中でちゃんと見やすいか確認します。
僕がやっているのはマネージャーみたいなものです。今ではあんまり表には出なくて。たまにイラストやオープニングを制作するくらいかな。
—そういうすみ分けなんですね。ちなみにサムネイルに40分くらいかかるということで、1本制作するにも結構時間がかかりそうだなって思ったんですが。
ハセシン兄:撮影はお昼の12時から夕方の18時の間で、いいものが撮れるかどうかの勝負って感じです。その後30分くらい休憩して18時半くらいから編集作業を始めます。撮ったものを切り貼りして、字幕入れたりとか。あとは後ろにフリーの素材でBGMを一緒に流して。それにサムネイルもつくり、諸々整えて、20時半くらいにアップロードができるみたいな。大体、毎日投稿するときは、その日に撮って、その日にアップロードすることが多いです。