ハセシン兄さんが注目する現代のコミュニケーション
—話は変わりますが、YouTube含め現在注目しているコミュニケーションはありますか。
ハセシン兄:プレイステーションVRみたいに、実況者として360度のゲームを撮って1つの動画で何回も楽しめるものがつくれたらいいなって思います。YouTubeって基本的に画角がちゃんと決まってて、その画角内でしか情報が見れないけど、VRならいろんな角度から体験することができる。ずっと正面だけ見てると気付かないような仕掛けを考えたり、1つの動画でいろんなところに対して、種をまける可能性があっていいなと。YouTuberで既に360度使っていろいろやってる人もいると思うんですけど、私たちの実況もたまには、そうやって企画できたらいいなと。
—いいですね。 それ、すごく楽しそうです。
ちょっと難しい質問になりますが、もしハセシン兄さんがこの「広告業界の若手が選ぶコミュニケーション大賞」に何か推薦するとしたら、何を出しますか。
ハセシン兄:なんだろうな。これ、広告として推薦できるかどうかわかんないけど…。
—広告に縛られなくてもコミュニケーション施策であれば大丈夫です。
ハセシン兄:YouTubeに「NoCopyrightSounds」(以下 NCS)っていう、海外のチャンネルがあって。結論から言うと、著作権フリーの曲をずっと格納し続けているチャンネル。いろんなアーティストさんが著作権フリーでそのチャンネルに曲を提供していて、その音楽は他の投稿者や視聴者が自由に使えるとようになっています。ただ利用条件があって、動画などに使用する場合は、概要欄にNCSから使った楽曲のURLやアーティスト情報を添付する必要があります。今、1300万人もチャンネル登録していて、すごく人気のあるチャンネルなんです。曲の質もフリーとは思えないようなクオリティーで。なおかつ著作権フリーだから安心して使える。
曲が使われればURLはどんどん拡散されるから、そこからまた逆流入でそのチャンネルの再生回数も増えるみたいな。そういう仕組み自体がすごいなって思います。著作権、著作物、制作物に対しては守った方がいいっていう従来の考えが強い世の中で、逆にオープンにすることで、みんなのクリエイティブ力を活発に刺激して、人の流れ方がより活発になって、どんどん周りも参加したくなってチャレンジしたくなる、みたいなことが実現されています。YouTubeをやってる身からすると、そういうチャンネルがこれからどんどん増えていったらいいなと感じてます。
—YouTubeの中に新しい媒体ができているみたいですね。
ハセシン兄:まさにチャンネル自体を媒体、メディアとして使ってます。発見した当初は、チャンネルとしてそういう使い方があるんだって、衝撃でしたね。
—いい事例ですね!ありがとうございます。最後に、ちょっと業界が離れてしまうかもしれませんが、広告業界の若手に一言いただけますか。
ハセシン兄:私もまだまだ若輩者なので、難しいですね(苦笑)。
今の若い世代って、すごく目が肥えてて、若い子たちでも3Dソフトを使ってる人もいて、そういう若者世代に刺さるのって、本当、コンセプトが大切なんだろうなって思います。表面的なきれいさも受けるかもしれないけど、それ以上に目が肥えてるからこそ、本当に心に刺さるのはしっかりとしたコンセプトや意思、メッセージを伝える座組みをいかにつくれているかだと感じています。あと、YouTube的に言うと、質もそうだけど量も大切。コンスタントさ、続ける努力みたいな。一発の面白さやエネルギーとはまた違っていて、続けることで帯びてくる独特のエネルギーがあるような気がします。
—なるほど。継続力も重要ってことですね。
ハセシン兄:一発も魅力的ですごく素敵だと思います。ただ、そこで終わらず、コンスタントにタッチポイントをつくっていければ、さらにファンを増やしていけるのかなっていう気がします。
—貴重なお話ありがとうございました。U30としてお互いがんばっていきましょう。
ハセシン兄
YouTubeのチャンネル登録者33万人のゲーム実況者。
主に一人称の視点で行うFPSというゲームジャンルを扱い、生放送含め、毎日活動中。
この記事は以下の「若手が選ぶ、コミュニケーション大賞」ワーキングメンバーがインタビュアーを務めています。
古山萌美(ジェイアール東日本企画 コミュニケーション・プランニング局)
2016年ジェイアール東日本企画入社。さまざまな企業のプランニング業務に従事。第5回よりICAワーキンググループに参加。