コミュニティ運営では「お客さまを信じる」ことが重要
藤崎:1年以上運営されてきて、現状をどのように捉えていますか。
塩谷:会員も一定数を保ち、反応も順調なので、サービスとして定着し始めているのかなと胸をなで下ろしています。利用してくださっているファンの方にとっては、心地よい空間になっているのではないかと想像しています。
藤崎:運営の体制について教えてください。
塩谷:社内ではコミュニティ担当者が1人おり、定期的に質問や話題を投げかけています。ただ、すべての書き込みにお返事したり、コミュニティ全体の発言に返信をしたり、といった密なコミュニケーションを取るところまでは、まだできていないのが課題です。制作面などの一部業務は外部に協力を頂いています。
藤崎:今、会員のユーザーさんは、どのくらい自由に発言するんですか?コミュニティが荒れる心配はないですか。
塩谷:コミュニティでの発言は、ご自由にどうぞという感じなので、かなり盛り上がっています。もちろん返答が必要な状況があれば、個別対応できるように常時閲覧もしています。
コミュニティが荒れる可能性ですが、確かに開設前は少し心配しました。ただ、メールアドレスを通してお客さま個人が判別できているからでしょうか、今はそのリスクはほとんどないと感じています。運営の協力を頂いている会社からも、こうしたコミュニティは、うまく収まるようになっているというアドバイスもありました。
藤崎:それはすごくいいですね。今は「お客さまを信じる」時代だと思います。
塩谷:私もそう思います。今はコミュニティの場で発言を制約することは不信感のもとになってしまうので、いわゆる検閲は避けたいという話は最初から出ていました。
藤崎:実際にそういう何でも語れる、投稿できる場だからこそユーザーどうしが本音で語り合える話題もあるわけですよね。
例えばカメラメーカーのコミュニティクラブでも、社員からは、自社のレンズ以外の話をすることは御法度です。でも、カメラファンにとっては、他社レンズとの比較は、そもそも購入検討のうえで必須です。そういう場合に社内的にはタブーでもお客さま同士で話して貰えると、とても助かるということがあります。
塩谷:その通りですね。顧客の声に耳を傾けるといいますが、自社の都合でお客さまの声に制限をかけたり、自社に都合のいい発言だけを載せたりする時代ではないと私も思います。お客さまは、あくまで真摯な態度で接したいと思っています。