アップル、ウォルマート、スターバックス、コストコ…最も顧客中心な企業はどれか?

顧客中心とはカスタマーサービスの向上ではない

フェイダー教授は、企業を大きく「顧客中心」と、「プロダクト中心」の2つの枠組みに分けています。

一般的な企業のビジネスモデルは、すべてプロダクト中心に構成されています。それは企業の組織体制を見れば分かり、供給体制のサプライチェーンにそって構成され、商品を大量に製造し、そのスケールによって利益を確保しながら、幅広い販売拠点で大量に売りさばくモデルです。

ウォルマートやコストコも小売業として大量陳列販売モデルが基本にあり、彼らのノウハウは主に「いつ、どこで、何が、どのくらい売れるか」というデータの集積にあり、そこには購買する顧客のデータはビジネスの前提になっていません。

たしかにウォルマートやコストコにも、ロイヤリティプログラムや会員組織はあるかもしれません。しかし、そのデータは顧客への理解を推進するために使われているというよりも、上記のプロダクト中心主義を補完するために活用されているだけです(少なくとも今のところは)。

次に、顧客満足度が高い、つまり顧客フレンドリーでサービスレベルが高いことも、顧客中心であることとは違います。いくら伝説的な顧客サービスが有名なノードストロームやスターバックスも、それぞれの担当者のサービスレベルが高いだけで、一人の顧客に対する企業の全体的な理解が、ノードストロームやスターバックスの全社的な取り組みになっているわけではありません。

例えば、みなさんがよく使うスターバックスの店舗スタッフは、個人レベルではみなさんのことをよく知っているかもしれません。ただし、海外旅行に行った先でたまたま寄ったスターバックスの店舗スタッフは、あなたがどのようなコーヒーの好みをもっているのか、そして、これまでどのような買い物をしたかを知っているわけではありません。

次ページ 「フェイダー教授の顧客中心の定義」へ続く

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