設立6年でAgency A-Listに選ばれた成長企業の新規事業に注目

9月24日から10月1日の日程で実施した、米ニューヨーク視察研修ツアー「Business Creation Lab. in New York」。6日間の視察を通じ、時代の変化に合わせて新たなビジネスモデルの確立に動く先進企業の動きを捉えるとともに、日本の広告界が目指すべき方向性を探りました。アドタイでは、視察団が訪問した注目企業について、レポートを順次公開していきます。
また「宣伝会議」2018年1月号(12月1日発売)には、レポートの総集編を掲載します。こちらも、ぜひご覧ください。

創業以来、マンハッタンにオフィスを構えていたが、今年3月にブルックリンのダンボ地区に移転。ブルックリン橋を臨む圧巻の景色。

3000人のインフルエンサーをネットワーク

Laundry Serviceは、インフルエンサーを活用してグローバル企業のプロモーションを手がけるソーシャルメディアエージェンシーだ。2015年にはプロスポーツ選手のマネジメント会社大手 Wasserman Mediaの傘下に入り、スポーツ選手を活用したソーシャルメディアマーケティングにも本腰を入れ始めた。

2016年に前年比78%成長、50億円の利益を叩き出し、設立6年目ながらアドエイジ誌が選ぶ「Agency A-List 2017」のナンバー9に選出された。急成長の秘訣を、事業開発担当ディレクターのサマンサ・クリス氏は次のように話す。

「私たちはクライアントに対し、プロモーション戦略立案からコンテンツ制作、メディアバイイング、コミュニティマネジメントまで幅広いサービスを提供しています。長編動画や1〜2分の短編動画、シネマグラフ、GIF、写真などのコンテンツを、インフルエンサーやスポーツ選手といったタレントを起用して制作し、最適なプラットフォームに最適なタイミングで配信できることが強みです」。

Laundry Serviceの従業員は総勢350人。ネットワークするインフルエンサーやスポーツ選手は3000人を超える。そしてクライアントには、Nike(Jordan Brand)、Apple、LG USA Mobile、Amazon、BMW、Twitterなどの有力企業が名を連ねる。

 

コニャックのトップブランドであるヘネシーからは、「米国で、プレミアムブランドとしての認知を広めたい」という依頼を受け、“Never Stop. Never Settle.”というブランドメッセージを軸に、世界的なボクサーの半生を辿った動画や、挑戦を続けるアーティストやインフルエンサーにフォーカスした動画を制作。最初の動画をリリースしてから8カ月間で、ソーシャルメディア経由のブランドへのリーチが前年比2倍となった。

また、LG USA Mobleとのプロジェクトでは、Facebookページの月間アクセス数が前年比32倍、ポストエンゲージメント(投稿への反応)が16倍に拡大するという成果を挙げた。

ソーシャルメディア上には10代から60代まで幅広いユーザーが存在し、それぞれに好むコンテンツが異なる。「すべての人を満足させるのは難しいですが、クリエイティブでは2 つのことを大切にしています」とクリス氏。「まず、誰のためのコンテンツなのかを、明確に定めること。そうすれば、Twitter、Facebook、Instargramと、どのプラットフォームで配信するのが最適であるかが見えてきます。もうひとつは、ストーリーにこだわること。クオリティが高く、これまでにないストーリーは、世代を超えて支持されるはずです」。

次ページ 「インフルエンサーを軸にビジネスを多角化」へ続く

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