位置情報を活用したモバイル広告、米国で急成長中
低関与商品に関して言うと、ユーザーのおよそ6割が、検討開始から24時間以内に購入を完了するという。初回検討時の検索行動で、最も多く使われるデバイスはモバイルだ(インテージ「検索行動構造調査」2016年4月)。また、人々が1日にスマートフォンをチェックする回数は150回にのぼるという調査結果もあり(Kleiner Perkins Caufield & Byers「2013 Internet Trends」2013年5月)、人が何かを購入したいと思った瞬間(モーメント)をとらえる上で、モバイルデバイスは欠かすことができない。
スマートフォンユーザーにアプローチする方法にはさまざまなものがあるが、なかでも昨今注目を集めているのが、位置情報を活用したデジタル広告配信だ。2016年時点で、米国モバイル広告市場全体の38%が位置情報を活用して配信されており、2021年には45%に拡大すると予測されている(BIA/Kelsey発表、2017年1月)。
Ground Truth コミュニケーションVPのKimberly Konstant氏は位置情報を活用する意義について、次のように話す。「位置情報からは、検索履歴やサイト訪問履歴以上に、人間のリアルなインサイトを掴むことができます。例えば、ラグジュアリーブランドのSNS投稿に『いいね!』して、そのブランドのWebサイトにアクセスしている女性がいたとする。この行動を踏まえれば、彼女はラグジュアリーブランドに高い関心を持つ層と考えられ、企業はターゲット広告を配信しようと思うかもしれません。しかし、彼女が実際に買い物をするのはMUJIやUNIQLOといったカジュアルブランドだということがあり得るのです。オンライン行動だけを見ても、その人の真の嗜好やライフスタイルを正確に読み取ることはできない。それを示す典型例と言えるでしょう。一方、位置情報を見れば、誰がいつどの場所に行ったのか、どの店に入ったのかを特定することができます。人々のリアルな姿、行動を把握することができるのです」。