4.「1day」で終わらせない、2の矢、3の矢
PRパーソンは、“一発屋”的な施策を嫌う傾向にあります。様々なフェーズで最適な施策を続けていかなければ、世の中の合意形成が得られないことを知っているからです。
あるコアアイデアに基づいて、ひとつの施策をローンチすると、世の中からどんなリアクションがあるのか。それに対してどのような「第2のメッセージ」を発信でき、さらにその先はどうなるか・・・。こういった「PRストーリー」をあらかじめ設計し、明確に示すことが重要です。
5. 「3枚目」までに発見はあるか
アイデアコンペでは、実は“前段”が大事なのではないかと思っています。
インサイト、ターゲット、課題に対して最も関心が高くなるタイミング・・・何でも良いですが、前段の3ページで何らかの「発見」があることが重要です。その発見で審査員に膝を打たせることができれば、あとは発見からジャンプし過ぎていないエグゼキューションを4枚目以降に見せるだけです。
6. PR is “ONE VISUAL, ONE COPY”
重要なのは、これはダイレクト部門ではなく、PR部門だということです。施策を直接体験した人だけでなく、メディアに露出する写真と文章に触れる人にも、効果がある施策になっている必要があります。
そのためにはキービジュアルとなる一枚絵が撮影できる施策であることと、見出しとなるワンコピーが書ける施策になっていることが求められます。コンペにおいても、記憶に残る一枚絵をつくることができれば、ジャッジをするタイミングで審査員に思い出してもらえる可能性が高いです。プラニングの際は、キービジュアルをつくれるアイデアかどうかを確認しましょう。
7. 印象に残すプレゼン
10ページの資料を提出するだけでなく、英語によるプレゼンテーションが必須であることがPR部門の特徴。審査員の記憶に残るプレゼンが加点要素になることは明白です。
ただ資料の音読をするのではなく、ときに2人の掛け合いを見せることや、審査員とのインタラクションを設けるなど、プレゼンだからこそ実現できる工夫があったほうが、より良いです。
本選で私たちは、施策の中心となるアイテム「メッセージの書かれたブランケット」をプレゼンまでに製作し(オリエンからプレゼンまで25時間しかない!泣)、プレゼン中にデモンストレーションしました。実際に見せたことで、施策が理解しやすく、印象に残すことができたと思います。
8.徹底した理論武装と想定済みの質疑応答
どの施策にも欠点はありますし、資料に書ききれないこともあります。そして、審査員は必ずそこを突いてきます。審査員の立場で考えれば、質問は事前に想定することができるので、当意即妙な回答ができるよう徹底的に準備しておくことが大事です。
特に国内予選では、海外の審査でも物怖じしない頼もしさが求められているので、質疑応答が鮮やかなだけで大きな加点になるはずです。実際、2016年に私たちが初めてヤングカンヌ代表に選ばれた時は、ここで大きく逆転したと言われました。