アウトプットは“何でもあり”!
便宜上「デジタルエージェンシー」に分類されることの多いHugeだが、提供するソリューションは“何でもあり”だ。クライアントのデジタルトランスフォーメーションを実現するために、オンライン/オフラインをまたいでUXデザイン全体を再構築していく。
「伝統的な手法に縛られたくはないし、『できる』『できない』の限界を持ちたくはありません。対象や手法を問わず、あらゆることに挑戦したい」とトランスバーグ氏は力を込める。
そんなHugeの姿勢が明確に表れた事例が、2014年に手がけたNIKEのウェアラブルデバイス「NIKE+ FuelBand」のリブランディングだろう。2012年に登場し大ヒットしたFuelBandだが、2年経って販売が伸び悩み、何より「スポーツを楽しむ」という本来のコンセプトが消費者に十分伝わっていなかった。
そこでHugeは、FuelBandを装着して運動すると貯まるポイント「FuelPoint」に注目し、24時間以内に貯めたポイントと引き換えにNIKEの限定グッズが手に入る自動販売機「FuelBox」を開発。これをニューヨークの街中に設置し、スポーツ分野のインフルエンサーを活用したプロモーションを行った。
FuelBoxが出現する場所はランダム。公式SNSアカウントで発信されるヒントを基にFuelBoxを探しながら、自然に楽しく運動できてしまうというわけだ。SNS上で話題が広がり、FuelBoxには多くの人が殺到したという。トランスバーグ氏は「これは広告というよりも実験でしたが、私たち自身もとても楽しめたプロジェクトでした」と振り返る。
アルファロメオのプレミアムセダン「GIULIA」のプロモーションでは、飛行機の座席スクリーンをメディアとして活用した。離陸するタイミングでGIULIAのプロモーションビデオを流し、加速性能を疑似体験してもらったのだ。ヴァージン航空を巻き込んで実現した同プロジェクトは、ユニークな広告・コミュニケーション事例として高い評価を得た。
「時代の変化の中で、ユーザーとブランドとの出会い方もどんどん変わっていきます。今後はWebサイトやスマートフォンアプリではなく、Amazon Alexaを通してブランドを知ることが当たり前になるかもしれません。何より重要なのはユーザーを理解すること。それを基に、ユーザーにとって最適なUXを追求することが私たちの使命です」。