マーケター必見、米国広告界の最新動向をとらえる8つのキーワード

【5】データ・ホリゾンタリティに一定の成果
WPPのCEO マーティン・ソレル氏が提唱してきた「データ・ホリゾンタリティ」戦略が成果を出しつつある。データ・ホリゾンタリティとは、世界のWPPグループ企業約400社が持つデータ資産、クライアントの持つデータ、さらに提携するFacebookやSpotifyなどサードパーティーデータを水平統合して、広告の企画・配信などに利用しようというもの。WPPのシェアが低い日本の広告界ではなかなか聞こえてこないキーワードだが、グローバルでは大きな注目を集めている。

【6】Amazon、Amazon、Amazon
デジタルマーケティングはもはや、Amazon抜きに語ることができない時代になっている。Amazonは今年8月、自然食品小売大手のホールフーズを137億ドルで買収した。このM&Aはホールフーズ側からの打診であり、買収完了後に早速、Amazonの顧客の購買・行動履歴などのデータをオフライン販売に活用する試みが始まった。
小売各社がこれまで独力で進めてきたデジタル化推進・オムニチャネル化は成果が上がっておらず、Amazonは依然台風の目である。

【7】プログマティックTV
広告取引を自動化する「プログマティック広告」が昨年来、テレビ広告にも導入され始めた。これまではとても「自動化」とは言えないレベルだったが、今年に入り、リアルタイム取引とまではいかないものの、テレビCMの自動取引やダイナミック入稿がプラットフォーム上で可能になりつつある。広告主には、放映コンテンツの管理能力が必要になってくるだろう。

【8】ブロックチェーン×広告
仮想通貨のコア技術であるブロックチェーンが、広告界にも影響を及ぼし始めている。例えば、Webブラウザ「Brave」(JavaScriptの開発者であり、Mozilla共同創業者のブレンダン・アイク氏が開発)は、仮想通貨「Ethereum(イーサリアム)」を活用し、広告掲載によって得られる収益を、パブリッシャーと広告会社、閲覧ユーザーの3者で分配するモデルを構築(ユーザーへの支払いは仮想通貨で行われる)。さらに、仮想通貨を使って、ユーザーがパブリッシャーに寄付をする仕組みも開発した。デジタル広告のあり方を変えるプロジェクトであり、今後の展開に注目だ。

榮枝洋文氏
デジタルインテリジェンス ニューヨークオフィス代表

日本の大手広告会社 アメリカ法人CFO兼副社長を経て2012年より現職。広告・マーケティングのグローバル戦略領域において活躍。現在北米における米系エージェンシーや、独立系デジタルエージェンシーとの連携からビジネス・コンサルティングを行う。

 


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