消費の中心、若者は「me generation」
Instagramの利用者数が伸びている。そこから見えてくることは2つ。まず、非公開のプライベートアカウントが圧倒的に多いということ。中国で拡大しているWeChatも、日本で人気のLINEも、プライベート利用が目的だ。マーケターたちは、そうしたプライベートのネットワーク内にいかに入り込むかが重要になっていると言える。
2つ目に、セルフィーブームを通じて、今の若者は「me generation」、つまり自分中心の消費スタイルを持っていることが見えてくる。自分をタレント化したり、コンテンツをキュレートしたり、ということを積極的に行う世代であるということだ。
例えば2016年の冬にイギリスの百貨店 ジョン・ルイスが公開したクリスマス商戦に向けた2分間のテレビCM。毎年エモーショナルで美しいCMを展開することで話題になるジョン・ルイスだが、この年のCMで描かれたのは、女の子がクリスマスにもらったトランポリンを、飼い犬に先に遊ばれてしまって呆然とする様子。そのシュールさが、笑いとともに大きな反響を呼んだ。
折しもそのCM公開が米大統領選挙の最中であったため、登場人物の顔をオバマ元大統領、ヒラリー・クリントン候補(当時)、ドナルド・トランプ現大統領の顔を登場人物にすげ替えたパロディ動画が英オンラインメディアの「JOE.co.uk」によって公開され、170万回(2017年10月時点)再生されている。
他にも、CMを見て真似する愛犬の動画を投稿するオーディエンスも登場した。これまでは、CMを企業が公開したらそれで終わりだったのが、生活者が追従し、自分たちなりのコンテンツをつくって楽しむ時代になっている。
テクノロジーはストーリーに組み込むもの
これらのことから言えるのは、ブランドのコンテンツは企業だけのものではなく、生活者が自由に参加して楽しめることが重要ということだ。近年、盛んに「ストーリーテリング」と言われているが、大切なのは「テリング」することよりも、「ストーリー」そのものだろう。
いくつかのテクノロジーのトレンドについて話をしたが、それをどのような文化や背景の中で使うか、いかにストーリーの一部に取り入れていくかが重要だ。クリエイティブな仕事をする人は、子どものような柔軟な心で新しいテクノロジーに接し、新しい価値をつくり出すヒントにしてもらえたら嬉しい。
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