英・ロンドンに本社を置く、クリエイティブエージェンシーのAKQA。現在、世界の主要都市の23カ所にオフィスを開き、2012年からは東京オフィスも開設している。
今年の夏、この東京オフィスに新しいジェネラル・マネージャーが就任した。前職ではサンフランシスコのUber本社でマーケティングチームのリーダーを務めていたバッソー 陽一郎氏だ。デジタルに強みを持つ、クリエイティブエージェンシーであるAKQAは、いま日本の市場にどのような戦略で挑もうとしているのか。バッソー 陽一郎氏に話を聞いた。
—AKQAの東京オフィスは現在、どのような体制になっているのですか。
AKQAは2012年から、東京にオフィスを開設していますが現在は、30名弱のメンバーが在籍しています。多様な人材が特長で東京のオフィスのリーダーシップチームの3人の内、私以外の2名は女性。スタッフの出身国も様々で6カ国からが集まっています。お付き合いのあるクライアントの多くがグローバル企業なので、世界から日本への橋渡し、さらには日本から世界への橋渡しも担っていくような仕事をしていきたいと考えていますが、そのためにはダイバーシティが担保されているだけでなく、インクルーシブであることが大切。常にそういうコーポレートカルチャーを意識しています。
—日本のマーケティング、広告の市場において、AKQAはどのようなポジションを築いていると思いますか。
私たちが築いてきたポジションとは東京に限らず、AKQAを設立した際に掲げたビジョンと変わりはありません。そのビジョンとはアートとサイエンスの融合です。
そしてデジタルファーストの姿勢を掲げてはいますが、自らをアイデアとイノベーションの会社と規定し、クライアント企業の方たちと共に新しい未来をつくっていくことをミッションと考えています。こうしたビジョンや考え方が私たちのポジションを示すものであり、東京のオフィスでも同じです。
その他にAKQAの特長として、シンプリシティを重視する価値観があります。デザインも思考も、私たちが住む世界は乱雑で非常に混沌としています。多くのモノやサービス、デザインが十分な注意を払って、世に送り出されていないと感じます。そこで私たちは自分たちの考え方や物事のプロセス、また私たちが世に届けるモノについても、シンプルであることをとても重視しているのです。
—アートとサイエンスの融合を目指す上では、クリエイターだけでなくテクノロジーに精通したスタッフも必要になってくると思います。
東京のオフィスには、そうした人材はまだ多くはないのですが、これから増やしていく計画です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京はテクノロジーに対する投資が積極的になっていくと考えていますし、日本の企業を見ていると、すでに真のデジタルトランスフォーメーションが起き始めているとも感じています。