ワンチャンじゃ意味がない。私たちはいつも「本命彼氏」のような商品を求めている。

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自分のスタイルに合う美容師さんと出会えた

先日、2年前に東京に上京してからはじめて、行きつけの美容院ができました。最初に訪れるようになったきっかけは、美意識の高い友人からの紹介。

「この人の紹介なら間違いない!」と信頼して出向くと、実際に誰に担当してもらっても本当に素敵な美容師さんばかりで、しばらくはいろんな方にお願いしていたのですが、最近はひとりの美容師さんを指名するようになりました。

りょかち
1992年生まれ。京都府出身。IT企業の社員として働く傍ら、通称「自撮ラー」を名乗り、SNSに自撮りをアップし続ける自撮り女子。若者文化やセルフィーアプリに関心を持ち、インターネット文化についての取材も多数受ける。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。ツイッター: @ryokachii

その方にお世話になるようになったきっかけは、Instagram。投稿されている素敵なヘアスタイルはもちろん、プロフィールに「施術中は静かだけど、仕事は真心を込めて丁寧にします!」というような内容が書いてありました。

基本的に、私が美容院での時間ですることは決まっています。「雑誌や本を読むこと」「メッセージを返すこと」、そして仕事柄「最近若い人の中で流行しているモノ、SNSについて美容師さんに聞くこと」です。

最後の聞くこと以外は、美容師さんと積極的に話すことはありません。そのため、事前にSNSで「私は静かです」と宣言してくれている美容師さんに担当してもらえるのはとてもラクでした。美容師さんに話を聞くと「よく、美容院で静かに施術されたい人から担当をお願いされたりするんですよ」とのこと。

その美容師さんに担当してもらってから、“素敵な見た目になるために美容院に出向く”ことはもちろん、“美容院という空間に行く”ことが楽しくなりました。

髪を切る技術も、もちろんピカイチな私の美容師さん。当然、美容院選びにおいて、そのポイントは外せません。だけど、正直に言ってしまえば、技術が高い美容師さんは東京にたくさんいるのです。だからこそ技術がピカイチで、かつ“自分のスタイルにぴったりな”美容師さんを見つけられたことが、私の長く続いた美容師さん探しを終わらせるきっかけになったのだと思います。

「本命商品」は「流行」とは違う世界観で動いている

Instagramには「 #底見えコスメ 」「 #使い切りコスメ 」というハッシュタグがあります。これは「底が見えるほど使い古しているコスメを紹介する」投稿につけるハッシュタグです。

このハッシュタグで検索してみると、本当の「私たちの愛用している商品」が見えてきます。そしてそれは、所謂「流行している」と言われているコスメとは少し違っていたりするのです。

また、私はすべての生活用品に関して、「最近何を使っているの?」と聞くのが大好きです。誰かが愛用しているアイテムもまた、流行とは少し違ったアイテムが出てくるのが面白いところです。

そして、そんな誰かの「本命彼氏」のようなアイテムには沢山の思い入れや面白いエピソードがあります。

とある先輩女子に「最近ハマっていることは?」と聞いた時、「そういえばさ」と話してくれたのがピラティスについて。彼女は定期的にピラティス教室に通っているそうなのですが、ずっと同じ教室に通っているらしく、その理由について教えてくれました。

「うちのピラティス教室、初回無料とか、入会金無料とかじゃなくて、通えば通うほど安くなる仕組みになっているの。だから退会するとまた高くなるからそのまま続けちゃっているし、他の教室とかも行かないんだよね」

先程、私の話の中でも出てきた美容院も、カラーとカットを両方やっても優しいお値段設定になっています。その理由を聞いたところ、「高い料金でキレイに仕上げても、たまにしか通えないなら意味がない。少しでも安くして、こまめに通い続けたほうが絶対に良い状態に保てるから」と教えてもらいました。

そして、毎回「次はこういうふうにしていくとキレイに髪が伸ばせる」とアドバイスしてもらえます。

自分が同じ美容院に通い続けはじめた理由も、実はスタイルが合うことに加えて“他に移ると余計なコストと面倒がかかるから”というポイントがあるかもしれません。

次ページ 「行けば行くほど「好きになる」をつくり出す」へ続く

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りょかち
りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

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