ワンチャンじゃ意味がない。私たちはいつも「本命彼氏」のような商品を求めている。

ワンチャンで終わらない、使い続けたくなる工夫

この記事を書くにあたって、「ねえねえ、ずっと使い続けている、何かってある?」という質問を数々の友だちにしました。だけど、なかなか返ってこない。

かくいう私も、「ずっと使い続けている何かって、実は超少ないかも」と気づきました。

アプリも服も化粧品も、とにかくスイッチングコストは安く、一方であらゆるSNSで情報収集ができる現代では、「定番商品」を見極めることにはかなり慎重です。私たちは沢山の情報を集めては色んな商品を試しているのです。

ただし一方で、使い続けているアイテムには、一度浮気してもみんな必ず戻ってくるようでした。それこそ「本命彼氏」のように。

私が出会った「本命彼氏」たちは、ユーザーのデータを活用しながら、あるいは訪れるお客さんの顔をよく見ながら、新しいお客さんをひたすら捕まえてくるだけでなく、自分が持っているお客さんに対しておもてなしをしていました。

さらに言えば、そのおもてなしも、ただ「◯回くれば、一回無料!」と言った無味乾燥なものではなく、そのお客さんと長く付き合っていく上での1対1のプランニングをしていたり、自分のキャラをお客さんに伝える工夫をしていたり、“他の人じゃ代替がきかない”ことをしています。

そしてだからこそ、「他の人じゃダメ」な本命彼氏になれるのでしょう。

モノを売る人が目指すべき「本命彼氏」

SNSだけでなく、ECサイトやWeb広告など、今現在ユーザーの行動はトラッキングしやすくなっています。それは、より多角的なデータからユーザーがほしいものを推察するヒントを得ることができる環境であることを指しているでしょう。

もちろん、企業にとって新しいユーザーに出会うことは大切かもしれません。しかし、ワンチャンばかりを繰り返していても意味がない。自分を気に入ってくれる本命彼女は大事な存在です。

そしてそれは、ユーザーも同じ。私たちは、SNSやYouTubeなど沢山のメディアを泳ぎながら「運命の本命彼氏」を待っているのです。

流行はSNSによって高速化し、わたしたちの趣味嗜好の変化も早くなっているけれど。出逢えば出会うほど、「この人って私にぴったり!」と思う相手に対しては、2017年の私たちは今も、一途な気持ちを持ち続けたままなのです。

1 2 3
りょかち
りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ