サービスデザインはパブリックセクターとの相性抜群!?
そもそもサービスデザインとはインフォバーンの井登さんによると、『複雑化する社会において、多くの利害関係者にとって有益で、持続可能性があり、価値の連鎖を生んでいくような製品やサービス、それらを生み出す組織や仕組みをデザインすること』です。
個人的には、その手法は広告作りやマーケティングにもっと取り入れていけるのでは、と常日頃から思っていました。そして今回、ついに10回目を迎えるサービスデザインのグローバルカンファレンスに初めて参加することができました。
カンヌやSXSWとはまた違ったフレンドリーな雰囲気で、参加者からはリテラシーの高さがヒシヒシと伝わってきました。年々参加者が増えているとはいえ、今年は600人ほど。上記の他のカンファレンスに比べれば規模もまだ小さいということもあり、参加者が繋がりやすいのかもしれません。
2日間に渡って行われたカンファレンスは、スピーチがメインで行われます。スピーチと並行する形でいくつかのワークショップも行われていましたが、筆者は初めてということもあり、スピーチのみ参加しました。
現在のサービスデザインの全体像を掴みたかったから、というのは後付けで、単にワークショップの申し込みに間に合わなかったためです…。どのワークショップも人気で、日本からは日立主催で「ビジネスオリガミ」というワークショップがありました。
まず今回のグローバルカンファレンス全体を、初参加の個人の主観たっぷりに総括してみますと、「サービスデザインはまだまだ発展途上、いや、進化中なのだな」という印象を受けました。
今回はカンファレンス自体がヨーロッパで行われたこともあるのか、北欧やスカンジナビアなどでサービスデザインが盛んということもあるのか、ヨーロッパ系の登壇者の数が目立ちました。
『複雑化する社会において、多くの利害関係者にとって有益で、持続可能性があり、価値の連鎖を生んでいくような製品やサービス、それらを生み出す組織や仕組みをデザインすること』。
冒頭に引用したイギリス政府のLouise Downeさんのスピーチの中で、この考え方はパブリックセクターのプロジェクトにピッタリだ、というのです。パブリックセンターでは政府の予算も削減できるし、デザイナーをプロジェクトのはじめの段階から参画させて、市民などのサービス受益者などを巻き込んでいく仕組み作りから行うことができるからとのこと。
日本のパブリックセクターなどでは、例えば佐賀県が県庁内に「さがデザイン」なる横断型の組織を持っていますが、こうした一部の例を除くと、まだまだデザイナーやクリエイターを公共プロジェクトやサービス開発のプロジェクトに最初から関与させている、というのは少ないのかな?という印象です。
この辺りの「パブリックセクター自体が、実はかなりクリエイティブである」という感覚はアムステルダムに来てから大きく変わったことでもありますが、今回のカンファレンスに参加して、さらに強固な印象になりました。特にイギリスやスカンジナビアン、オランダも含みますが、北ヨーロッパ系は、パブリックセクターが進んでいる印象です。
サービスデザインは政府や公共団体と非常に相性が良い、という印象を受けたのと同時に、教育分野、ヘルスセクターなどとも相性がいいようだと感じました。