日本唯一の広告専門ミュージアムとして2002年に開館した「アドミュージアム東京」が、開館15周年を迎えた今年、初めて大規模なリニューアルを行った。
リニューアルのコンセプトは「アナログとデジタルのハイブリッド」。これまでの展示内容を一新し、映像やデジタル展示も多く取り入れた。よりわかりやすく、親しみやすい内容・表現にすることで、ターゲットを広告業界関係者から広く一般へと広げたい考え。
「学ぶ」「感じる」「楽しむ」の3つの要素からなる展示を通じて、「知的エンターテインメントアクティブ層を呼び込みたい」(アドミュージアム東京 広報担当)という。企画制作には乃村工藝社が参加した。
12月1日のリニューアルオープンに先立つ11月30日、メディア内覧会が行われた。
館内は、エントランス&インフォメーション、常設展示室、企画展示室、ライブラリーの4エリアで構成される。
常設展示室のコンテンツは、「ニッポン広告史」「視聴ブース『4つのきもち』」「コレクションテーブル」の大きく3つ。
ニッポン広告史では「広告は社会と人間を映す鏡」をコンセプトに、江戸時代から現代までを6つの時代区分に分け、各時代を象徴する広告と関連資料を通して現代の広告のルーツをたどる。
視聴ブース「4つのきもち」では、時代を超えて人の心を動かしてきた広告を「元気がでる広告(Yeah!)」、「心あたたまる広告(Love)」、「考えさせられる広告(Hmmm…)」、「びっくりする広告(Wow!)」の4カテゴリーでキュレーションし、公開している。
デジタルコレクションテーブルは、タッチ式のデジタルモニター。1950年代から現在までのテレビCM、ポスターなど約2000点の広告資料がアーカイブされており、放送・掲出された年代や興味関心に合わせて検索し、閲覧することができる。収録作品は今後も増えていく予定。
企画展にも、より一層力を入れる考え。現在は、リニューアルオープンを記念した特別展「『思いつく』を考える展」を開催中。
話題のヒット作や便利な日用品にスポットを当て、優れたアイデアを「思いつく」努力の過程に迫る展示となっており、企画には電通の4年目社員が携わったという。
旧「広告図書館」は、アドミュージアム東京ライブラリーとして生まれ変わった。広告・マーケティングに関する2万8000点の図書資料を収蔵するほか、展示内容と連動した図書を紹介するコーナーも新たに設置された。
思わず図書を手に取りたくなるような工夫を加え、より開かれた空間とすることで、常設展や企画展と同様、広く一般に間口を広げたい考えだ。
「アドミュージアム東京」は、電通 第4代社長 吉田秀雄氏の生誕100周年を記念して開館した。広告・マーケティング関連書籍のほか、広告作品や資料など約30万点を収蔵し、広告の社会的・文化的価値と魅力を発信する活動を展開し続けている。開館以来、来館人数は190万人にのぼる。