電通×アマナ コラボ企画 「ビジュアルが持つ力の本質とは?」【後編】

ビジュアル×デジタルマーケティング

片岡圭史
アマナ 未来創造ルームマネージャー ビジュアルコンサルティング・スーパーバイザー

グラフィック、映像、ウェブ、イベントなど、企業のコミュニケーションに必要な幅広い分野でのコンテンツ制作をプロデュースしながら、企業におけるコンテンツの仕組みをつくるコンテンツアセットマネジメントのコンサルティングも行う。また、ビジュアル領域起点での企業のインナーコミュニケーション活性化の支援活動にも取り組んでいる。

片岡:最後のテーマは「ビジュアル×マーケティング」になります。電通ビジネス・ディベロップメント&アクティベーション局バリューチェーン戦略室 ディレクターの青木圭吾さんと、アマナ コンテンツパートナーディビジョン 執行役員の市村純さんです。

市村:ここ数年で起きた大きな変化は、スマートフォンの普及で消費者にとって「コンテンツ」が与えられるものではなく、自分で検索して取りに行くものになったということです。

そのため、ビジュアルや文章を絡めるなどした小さなコンテンツを複数つくり、大きなコミュニケーションにしていく手法にシフトしています。

青木:情報量が爆発的に増え、人はたくさんのコンテンツを見て、納得しないと購買に至りません。

一方で、誰もが簡単にコンテンツをつくる時代になり、情報の信頼性が問題になっています。ニールセンが米国で実施した調査では、信頼できるのは「ブランドサイト」や新聞に代表されるような「信頼のおけるソースのコンテンツ」であるという結果が出ています。

つまり企業は、ユーザーとの接点として、ブランドのオウンドメディアを充実させざるを得ない状況になっています。

市村純
アマナ コンテンツパートナーディビジョン執行役員 プランナー/プロデューサー

2004年入社後、デジタルプロモーションを中心としてプランニング・ディレクション業務を担当する。14年にアマナデザインの取締役就任。企業デザインを中心としたコミュニケーションプラン・ディレクション業務を担当する。現在はアマナにおいて企業へのコンテンツマーケティングソリューションの提供に従事。

市村:しかも、100人いれば100通りの価値観があるわけですから、たくさんのコンテンツを出さなければいけません。

ある企業のオウンドメディアは、立ち上げ当初はうまくいっていなかったのですが、コンテンツ数が300を超えた頃から、数字がグンと伸びはじめました。ユーザーがそのオウンドメディアに自分の好きなコンテンツがあると認識して、回遊し始めたためです。

この例のように、ユーザーが自分にふさわしいコンテンツがあると認めれば、それが企業のコンテンツだろうが、メディアのコンテンツだろうが、サイト内を回遊するというデータが出ています。

これからはコンテンツの質や数が必要になるため、グローバルで5000メディアのコンテンツを2次利用する権利を持つニュースクレドとパートナーシップを結び、企業のコンテンツマーケティング活動の総合支援を行うサービス展開を7月からスタートしました。

コンテンツの運用は、本当に大変です。しかし、このニュースクレドのプラットフォームがあれば、必要なコンテンツを検索して、スケジュール通りにユーザーに届けることができます。人力でコンテンツを制作していたときは1カ月かかっていたものが、わずか2日で実現できたという声も届いています。

このサービスのポイントは、コンテンツのパフォーマンスデータが取得できることです。コンテンツの閲覧数や、売り上げへの貢献のデータを見ながら、ビジネスを展開できます。

青木圭吾
電通 ビジネスD&A局 バリューチェーン戦略室 先端マーケティング・テクノロジー部 ディレクター

1998年入社。中部支社、新聞局中央部、地方部を経て、プラットフォーム・ビジネス局、ビジネス・クリエーション・センターで主にデジタル領域の事業開発に携わる。パブリッシャーのデジタル事業コンサルティングなどに加えて、欧米・イスラエル発の有望な新興デジタルマーケティングプラットフォーム企業の日本・アジアにおける事業開発プロジェクトと新領域開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーとして業務を推進。

青木:これまでクライアント企業がオウンドメディアを開設する場合、オリジナルコンテンツの制作が課題でした。特に業態が幅広いと、コンテンツの切り口が無数にあるため、何を優先すべきか判断しにくかったのです。そうした時に、ニュースクレドが提唱しているのが「ライセンスドコンテンツモデル」です。

例えばネットフリックスは、ビジネスのスタート当初、オリジナルコンテンツは1本もありませんでした。しかし、ライセンスコンテンツを大量に収集し、ユーザーの閲覧状況を把握することで、自分たちのサービスに欠かせないコンテンツをあぶり出しました。そしてミッシングピースを、オリジナルコンテンツで埋めていく戦略に出たのです。

企業のオウンドメディアも、いきなりオリジナルコンテンツを制作するよりも、ライセンスコンテンツで一定のKPIを埋めてから、状況を分析して、課題を解決していくべきではないかと思います。

企業はこれまでのような「安いよ!買って!」というプッシュ型のコミュニケーションから、ユーザーに「価値がある」と思わせて引き付けるプル型のコミュニケーションへとシフトしています。

市村:今回のニュースクレドとの提携では、「アート&サイエンス」という考え方を大切にしています。コンテンツマーケティングには、コンシューマーが潜在意識の中で求めているものを理解するというツールとしての機能もありますので、サイエンスとしてデータをきちっと取って、それに基づいて適切なアートやクリエーティブを提供していくことが求められます。

本日ご紹介した事例のように、企業はさまざまなコンテンツを自社サイトに出すことで顧客の潜在意識を“見える化”して、その人たちに合うイベントやコミュニケーションをしていけばいいのではないでしょうか。それを表現したのが「アート&サイエンス」という言葉です。

小柴:「アート&サイエンス」は、すごくいい言葉ですね。デジタルサイエンスという言葉が先行して使われていますが、それが「クリエーティブ」と融合するタイミングにきていると思いました。クリエーティブとデータが“結婚”することで、クライアント企業の事業に貢献する可能性を大きくなると思います。

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