ユーザーに受け入れられるポイントは「物語と体験」
そんなTOTB が手がけた代表的な事例に、NHK「ONE OK ROCK 18祭(フェスがある。この事例は、選挙権年齢が18歳に引き下げられることを受けて、「NHKと18歳とのつながりを作っていきたい」というオリエンから始まった。
「日本の18歳は未来に対して悲観的で挑戦をしないという内閣府調査の結果がありました。実際に18歳の人たちがそう考えているのかと疑問に思い、グループインタビューを実施したところ、確かに現実的でクールな印象はありましたが、好きなものの話題になると途端に熱くなるんです」と河原さん。
インタビューからの発見をヒントに、「18歳の人たちが熱くなって挑戦するリアルな体験をコンテンツ化する」ことを目指して企画は進んだ。そして、生まれたのが1000人の18歳が、アーティスト ONE OKROCK と共演するライブ企画「18祭」。ライブの模様は番組化され、テレビで視聴される以外にもSNS などで大きな反響があり、オンエア後2 週間で再放送されることになった。
動画投稿による参加者選考から本番のライブまで、主役はあくまで「18歳」の人々。NHKは彼らが全力で挑戦する「場」を提供することによって、「繋がり」をつくることに成功した。「体験を通じて生の声がユーザーから発せられ、それがテレビというメディアから流れて多くの人に届く。
そうしたユーザー基点のコンテンツをリアルに生み出し、それをPR や統合的なメディアプランで届けていくというTOTBのスタイルが形になった事例です」(望月さん)。
同じNHKで、東日本大震災から5年が経ち、その記憶を風化させないことを目的に企画され、3日連続で放送された「特集明日へつなげよう」でもそのスタイルが生かされている。この企画では、東北への応援写真とメッセージを全国から募集し、抽選で選ばれた写真とメッセージでラッピングした「三陸スマイルトレイン」を走らせた。
その車両がテレビ中継のポイントを通過する度に、ラッピング車両がテレビを通じて多くの人の目に触れる設計にしている。企業やユーザー、そして社会が持つ「物語」を、ユーザーがリアルに“体験”することやそこから生まれたコンテンツを通して、実体化し伝えていく。これまでの活動を通してTOTB が考える、企業とユーザーのコミュニケーションには、「物語と体験」が重要な要素になっている。
河原さんは、「TOTBの名前の由来でもある『既成概念に捉われずに発想する』ことを忘れずに、その時々でクライアントにあったスタイルを模索し続けていきたいです」と今後について語った。
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