鬼ムービー「スマホ時代の動画制作では視点の掛けあわせが必要」
〔鬼ムービーチーム〕
電通 メディア・プランナー 鹿間天平さん
電通パブリックリレーションズ PRプランナー 根本陽平さん
電通 クリエーティブ・ディレクター 眞鍋亮平さん
パナソニック「LOVE THERMO」、など数多くのオンライン動画を手がけてきた鬼ムービーチームからは、拡散される動画プランニングのポイントが語られた。
鹿間:鬼ムービーチームはテレビCMを作るのではなく、オンライン動画を作るために3人で活動しています。いいクリエイティブだけではなく、メディアの特性をいかに掴んでいるか、世の中の関心をいかに捉えているかまで含めたプランニングがオンライン動画では必要になります。
そもそもスマホの登場によってコミュニケーションは大きく変化しています。スマホは布団の中やトイレの中までついてくる。物理的な距離感だけでいえば、恋人より近い存在になっています。
このメディアの変化で、テレビCMがそのままスマホに流れてくるとすぐスキップしたくなるということが起こっています。オンライン動画にはオンライン動画ならではのポイントを押さえた制作が必要です。
また、いいクリエイティブを正しいメディア枠で流すことで見てもらえた環境とは違うため、広げ方にもポイントがあります。ここでPRが重要になってきます。
オンライン動画には、種類と目的が違うたくさんの種類があります。BOVAで必要とされる対象は新しい・面白い表現。なのでオンライン動画の3つの分類(3H)でいうと、話題になるようなエンターテインメント性の高い「HERO動画」になると思います。
HERO動画に必要な要素を「鬼メソッド10」としてまとめているので、ここから詳しく解説しています。
根本:オンライン動画でここにあげる10の要素を含んでいると打率が上がるというものを紹介します。その中でも今日はBOVAの挑戦に使えそうな2つ、シェアされる「感情トリガー」と情報価値を高める「PR IMPAKT®」について話したいと思います。
僕はPRプランナーとして、普段メディア・編集者に向き合っています。メディアが取り上げる価値のなるいいネタとは何か、を考えています。
そもそも生活者が見たい動画は、「友達友人がシェア、メディアが取り上げているもの」の2つが大きいと感じています。そしてシェアされる動画には必ず、感動や興奮など感情が共についています。そうしてシェアに結びつくのが「胸熱」「「信じられない」「カワイイ」などの「感情トリガー」です。その特性を知ることができれば、シェアされる動画に含まれている要素がわかると思います。
2つ目が「PR IMPAKT®」で、これはメディアがどのようなネタを取り上げているかを報道論調分析し、6つの視点にまとめています。「世界初」など新しい情報や対立構造などメディアが取り上げやすい傾向があります。
そうした要素をいかに動画に内包させることができるか。世の中視点でのプランニングのコツだと考えています。
眞鍋:クリエイティブの視点からは2つ話します。まず1つは「5秒インパクト」です。さまざまな情報に触れる忙しい視聴者は、冒頭の5秒で続きを見るか、見ないかを決めます。なので、その5秒間で何を見せるか、普段制作する時に気をつけています。
次に、「パワー・オブ・サムネイル」。動画のプレイボタンを押すかは、サムネイルとタイトルで決まると言われています。サムネイルにインパクトがあるか、コンテンツの内容をネタバレしすぎない範囲で伝わるものになっているか、サイズが小さくてもわかるかなど動画が広がるためのポイントにもなるのでとても重要です。
要はいかに動画を見てもらって、飽きずに見続けてもらうかということだと思います。
合わせて、どう取り上げてほしいか、見た後にどんな感情や言葉でシェアしてほしいかから逆算して、プランニングすることが求められます。
弊社の古川裕也が、広告は「びっくりとなるほど」でできていると言っていますが、まさにそういうことだと思います。
鹿間:今日お話した内容は以前アドタイのコラムでも書いていますので、ぜひ見てみてください。