編集方針と読者層が商材特性と一致
嶋瀬:LIXILさんの場合、タイアップ記事としてコンテンツ制作をgrapeさんが担当していて、一方でオウンドメディアのコンテンツなどを弊社のプレミアムネットワーク上で配信しています、タイアップ記事をgrapeさんに依頼したのはどのような理由ですか。
長島:「心に響くコンテンツ」というテーマ性や、ゴシップやスキャンダルを扱わないという編集方針と「住まい」というテーマが合致すると思ったからです。また、『grape』の読者層と弊社がコミュニケーションしていきたい層とが合致していたのも大きな理由ですね。
嶋瀬:一方でLIXILさんは現在、grapeさんとのタイアップ記事とは別に、オウンドメディアのコンテンツについて弊社の配信サービスおよびアトリビューションサービスもご使用されていますが、状況はいかがですか。
長島:クロスドメインでユーザーの足取りが可視化されることによって、コンテンツの評価軸が大きく変化していく気がしています。さらに、パブリッシャー様の持つパワーやコンテンツの質がお客様の動向に非常に影響しているのだということも見え始めています。
また、コンテンツによって、ランディングに効くものもあれば、ナーチャリングに適したものもある。コンテンツの見せ方や構成、見せる場によっても結果が大きく変わってくるということを、定量データとして把握できることは大きいですね。加えて、長期かつ、複数セッションでもトラッキングできることは、コンテンツを評価するサービスとして適していると思います。
東:当社でも常にデータを元にコンテンツの効果を検証しています。当社のメディアマーケティングの強みは、「AISAS」のフレームワークのプロセスを確実に踏めること。
特に弊社の『grape』はAttention(注意)とInterest(関心)の領域に強みを発揮しており、ユーザー目線の柔らかな文調や押しつけがましくないレコメンデーションを心がけています。
また、FacebookやTwitterなどSNSの情報拡散力を活用し、読者がSNSで共感をシェアしやすいという拡散メディアとしての特性も、LIXILさんの生活に密着した商材に合っているのではと思います。これからも継続的な記事制作で、コンテンツの精度を上げていきたいですね。
記事精度を上げる新機能に期待
嶋瀬:現在当社では来年をめどに、そのサイトへ流入したユーザーが他のサイトの、どの記事に興味を持ったか、情報を提供できる新機能を開発しています。
長島:それはとても魅力的ですね。現在はとにかく自社やパブリッシャー様とのタイアップなどで地道にコンテンツを増やし、データを蓄積・分析・反映するサイクルをまわしていますが、他のサイトや他のコンテンツでのユーザー動向も活用できれば、コンテンツの精度アップがより高速化できますし、自社の負担も軽減できます。
東:パブリッシャーとしての当社も、その機能が楽しみです。現在、当社のライターは個人の知見やスキルで記事の切り口や構成を考えていますが、そこにデータという科学性が加われば、ますます精度が上がりますね。
嶋瀬:今後、メディアとの取り組みをどのように考えていらっしゃいますか。
長島:オウンドメディアのコンテンツを強化し、情報を探している方にとって有益な情報を提供し続けることは必要。その一方で、潜在顧客を発掘するためには、第三者である外部メディアを通じて、潜在顧客のいる場に出向き、潜在顧客の興味に寄り添ったコンテンツを提供することも大切。それらを両輪として、今後もコンテンツマーケティングを強化していきたいと考えています。
東:『grape』では、常にユーザー体験を損なわないコンテンツ制作を心がけています。これからもユーザー体験を毀損せずに読者の共感を増幅し情報の拡散力を最大化して、企業プロモーションのお手伝いをしたいですね。
これからのWEBマーケティングでは、コンテンツの魅力がますます重要になることは間違いない。特に、企業の見込み顧客を育てるリードナーチャリングの領域では、質量共に優れたコンテンツを創り、効率よく拡散することが、勝利への方程式になるだろう。
株式会社LIXIL
2011年4月に設立された住宅設備機器・建材の総合メーカー。トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した。戸建住宅・マンションからオフィス・商業施設に至るまで、建材・設備機器と住関連サービスを幅広く提供している。社名のLIXILとは、「LIVING(住)」と「LIFE(生活)」を掛け合わせた造語。
株式会社グレイプ
2000年3月設立。WEBメディア事業ならびにインターネット広告事業を展開。「心に響くコンテンツ」をコンセプトに、動画・画像とテキストを中心としたWEBサイト『grape』を運営している。『grape』はFacebookページで82万以上のいいね!を集めており(2017年11月現在)、日本を代表する拡散型メディアのひとつ。2016年2月からフジ・メディアホールディングス傘下。
アウトブレイン ジャパン
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