足立:今日は女優として活躍する、真野恵里菜さんにもお越しいただいています。真野さんは元々「ハロー!プロジェクト(ハロプロ)」に所属していましたよね。あれだけハロプロで活躍されていただけに、女優に転身されたときは驚きました。どういった想いがあったのですか。
真野:デビュー当時からお芝居もやらせていただいていたのですが、ソロでの活動と異なり、役者さんやスタッフさんとみんなで作品をつくり上げることがすごく楽しかったんです。でも作品が完成するとチームが解散してしまう儚さがあって。それなら、これからいろいろな作品にどんどん携わって形に残したいなと思うようになったんです。
足立:そうでしたか。実際に女優として活動をされていかがですか。
真野:毎日が楽しいです。自分が経験したことのない職業や人生を演じさせていただくのはプレッシャーもありますが、つくり上げていく過程はどの現場もいつも楽しいです。
足立:ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」では一児の母の役をされていましたが、自分が経験をしたことのない役は大変だったのでは。
真野:大変でした(笑)。母親役をきちんとやるのは初めてでしたし、実際にお子さんがいる方の表情は出せない。実際にお子さんがいる友だちを始め、多くのお子さんがいらっしゃる方に話を伺って研究しました。
足立:素晴らしいですね。ちなみに髙崎さんは若手の女優さんを起用する際は、どのように選んでいるんですか。
髙崎:キャスティングする際はだいたい何かで見て、いいなと思った方を選んでいます。「20歳くらいの女の子」などの属性では探さないようにしていますね。
足立:属性では探さない?
髙崎:山田洋二さんと企画を一緒にしたときに必ず言われたのは、「その役者さんでしかできないことをやれ」ということ。「ほかの人でもできることをやるな、15秒でも30秒でも映画でも同じだ」って何度も言われたんです。それからは「この人にしかできないこと」をすごく意識するようになりました。
足立:そうでしたか。最後に真野さんと髙崎さんから一言ずついただきたいと思います。
真野:私は常に「時の人」になりたくないと考えて仕事をしてきました。何年経っても出てるねと言われたいし、「あのドラマや、この映画に出ていたのって真野恵里菜だったんだ!」と思っていただけるようになりたいです。そのとき、いただいた役やお仕事を柔軟に打ち返していけるようになれたらと思います。根性だけはありますので(笑)、ぜひよろしくお願いいたします。
髙崎:今はテクノロジーや広告のシステムがどんどん変わる激動の時代にあると思うんですけど、僕らの仕事は人の心を動かすことにあります。手法を目的にしてしまうと発想も作品もつまらなくなってしまうと思っています。CMが数10年かけて磨き上げてきた映像のテクノロジーは、テレビという場所を離れてもきっと躍動できるはずです。変化の大きな時代だからこそ変化しないほうをきちんと見つめて、「どうやったら人が動くのか。どうやったら心に近づけるのか」を常に考えていきたいと思います。なので、もし人の心を動かしたくなったらぜひお声がけください(笑)。
足立:広告はモノを売ることを先行しがちですが、その前にまずは画面の向こうにいる人の心を動かすコンテンツをつくることが必要だと思いました。人の心を動かす作品をつくることで結果として、モノやサービスが売れていくのではないかと感じました。今日はありがとうございました!
髙崎卓馬
電通
クリエーティブディレクター、CMプランナー
JR東日本「行くぜ、東北」「ウフフ北陸新幹線」TOYOTA「TOYOTA GAZOO Racing」「WHAT WOWS YOU /イチローが嫌いだ」サントリー オランジーナ「ムッシュはつらいよ」「オランジーナ先生」などの広告のほか、映画ホノカアボーイ(脚本・プロデュース)CXドラマ戦う女(脚本・プロデユース)と幅広く活躍。2010年、2013年クリエーターオブザイヤー賞など国内外の受賞多数。著書に小説「はるかかけら」(中央公論新社)、「表現の技術」(朝日新聞出版)や、雑誌Hanako「勝手にリメイク!」など連載多数。
真野恵里菜(まの・えりな)
1991年4月11日生まれ。神奈川県出身。2009 年にハロー!プロジェクトよりメジャーデビュー。ハロプロ在籍時より、堤幸彦や園子温から演技で高い評価を受ける。現在は多数のドラマ・映画・舞台に出演している他、女性ファッション誌「JJ」のレギュラーモデルも務める。今年の11月に映画「覆面系ノイズ」が公開し、2018年には「不能犯」「坂道のアポロン」等の映画公開が控えている。
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足立茂樹
e-spirit代表
博報堂出身。「クリエイティブコンサルタント」としてトップクリエーターとクライアントをつなぐコーディネート役を担う。また本業のキャスティング業務では60人のスタッフで年間約2000本の案件に励む。