知能が二極化していく可能性
松田:井上さんは経済的二極化が起こるのでベーシックインカムが必要だとおっしゃっているけれど、ハラリ氏は「将来は『知能』が二極分化する」と言っています。
つまり、金持ちは頭に人工知能を接続して超知能になれる。普通の人間の知能指数を100だとすると1000にすることができるわけです。そうなった時に何が起きるのか。
例えば、ビル・ゲイツ氏のようなお金持ちと、そうでない普通の人がいるとします。今は、たとえゲイツ氏が何兆円もの資産を持っていたとしても、普通の人の100万倍長生きするわけではありません。100万倍健康でも、100万倍幸せでもない。
ところが、将来それが変わるのです。金持ちは100万倍長生きし、100万倍賢くなるわけです。そうなると、ただの経済格差ではなく、知能の格差が発生することになる。こんな状況は、耐えられません。
そこで僕の提案です。政府が、国民で希望する者には、子どもが産まれた時に予防注射のように脳にベーシックインテリジェンスを埋め込むのです。
ジョバン:面白いですね。ベーシックインテリジェンスは、素晴らしいビジネスになると思います。
斎藤:松田先生は、シンギュラリティーが来ると確信しておられますが、人工知能の研究者の中には「シンギュラリティーは来ない」と主張する人が意外と多いですよね。
松田:最近も話題になりましたが、日本の著名な研究者が「汎用人工知能は禁止すべきだ」とおっしゃった。僕に言わせると、その先生は勉強不足です。
前半に紹介しましたが、人工知能には「特化型」と「汎用型」、そして意識を持つ人工知能と意識を持たない人工知能がある。人々が恐れる「人を支配するようなAI」は、意識を持った強い「汎用型人工知能」です。僕は意識を持たない弱い汎用型人工知能でも、シンギュラリティーを起こせると考えます。
それに、日本が「汎用型人工知能」を禁止しても、アメリカや中国をはじめ、日本以外の国が取り組むでしょう。
斎藤:シンギュラリティーの到来が、問題の本質ではないのです。科学技術がものすごいスピードで進化していることは間違いないのですから、一見すると実現不可能なアイデアでも、挑戦していけば面白いことが起きるかもしれません。
ジョバン:シンギュラリティーのテクノロジーを使えば、今は解決が難しいような問題を解決できるようになります。そういう側面を、もっと見てほしいなと思います。
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