「知ってるつもり」で終わらせない! ワクワクする体験でプロダクトの価値を伝える―アサヒグループ食品、シャープ、Knotの挑戦

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参加者
・アサヒグループ食品 食品マーケティング部 部長 林 和弘氏
・シャープ IoT通信事業本部 コミュニケーションロボット事業統轄部 市場開拓部 部長 景井美帆氏
・Knot(ノット)代表取締役 遠藤 弘満氏

写真左から、アサヒグループ食品 食品マーケティング部 部長の林和弘氏、Knot(ノット)代表取締役の遠藤弘満氏、シャープ IoT通信事業本部 コミュニケーションロボット事業統轄部 市場開拓部部長の景井美帆氏、JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏

11月24日「JAPAN CMO CLUB」の19回目の研究会が開催された。参加企業はアサヒグループ食品、シャープ、Knot(ノット)の3社だ。扱う商材は異なるものの、3社の共通点は形あるプロダクトを製造・販売しているメーカーであるという点。コモディティ時代に、いかにして機能性だけでない価値をつくれるか、各社の取り組みには共通点も多く見えてきた。

キーワードは「ファン以上の存在」、企業を応援してくれるサポーターをつくる

人口減少に伴い、市場全体のパイの拡大が見込めない現代。マス広告を投下して新規を開拓し続け、シェアを拡大するだけの施策は通用しなくなっている。限られたパイの中でビジネスをするうえでは、既存顧客との関係性も重要な競争軸になってくる。

しかし、「製品のファンになってもらうだけでは十分とは言えない」とアサヒグループ食品の林和弘氏は言う。「今、考えているのは商品をリピート購入してくださるファンを超えた“サポーター”を獲得していくこと。その実現のためには、製品だけでなく企業も愛され、応援したくなるような存在でなくてはならない」と続ける。

「同じ商品を買うのだったらあのお店で買おうという気持ちが生まれるのと同様に、機能や価格が大きく変わらないなら、あの企業がつくっているものを買いたいという思いは、お客さまの中にも醸成できるはず。これまで以上に企業の思想や姿勢、哲学が重要になっていくと感じています」(林氏)。

Knot(ノット)代表取締役 遠藤 弘満氏

シャープでモバイル型ロボット電話「ロボホン」を担当する景井美帆氏とKnotの遠藤弘満氏も林氏の意見に同調する。シャープでは、購入者向けのイベントの開催や、SNSやWEBサイトを活用したオーナーコミュニティに重点を置いているほか、「ロボホン」が成長していくソフトウェアアップデートサービスや、修理の保証サービスもコンシューマー向けに提供しているという。「『ロボホン』がお客さまにとって、ファミリーの一員に感じていただけるような関係性を築いていきたい」と景井氏は狙いを説明する。

40~50代に支持される「ロボホン」、高年齢層もデジタルリテラシーが向上

また10年ほど前までは、「ロボホン」のようないわゆるデジタルガジェットには、20代が興味を持ち飛びつく傾向にあったが、昨今流れが変わってきているそうだ。

「『ロボホン』の主要なお客さまは40代50代で、女性が5割弱ぐらい。さらに60代も増えています」と景井氏。モバイル型ロボット“電話”である、「ロボホン」は、シャープのモバイル端末事業が基盤になっている。

近年、特に若年層の端末の買い替えサイクルが長期化する中、企業資産を生かしながら新しい市場を開拓した「ロボホン」は、まさに戦略を実現する存在と言えそうだ。

デジタルガジェットにも関心の高いシニア層が増えているという話を受け、加藤氏は、CLUBのディスカッションより発想を得て行った、3700名を対象にした2017年度のSNS調査結果を紹介。

「例えばFacebookも今では、ミドルを超えてシニアのメディアになってきています」(加藤氏)。

この調査結果に対し、「目から鱗」と話す林氏と遠藤氏は、商品によっては新聞広告やDMといったツールも効果があると紹介。

「私共はフリーズドライも扱っているのですが、味噌汁は新聞広告とDMの効果があります。通販では6割が電話、2割がハガキで、ネットは2割くらいです」(林氏)。

「時計の場合はDMの効果がとても高い。今の時代メルマガでいいじゃないか。紙はコストがかさむという意見もあるかと思いますが効果は段違いなんです」(遠藤氏)。

年代によって使うメディアやデバイスが大きく異なり、またその状況も変化を続けている現在。加藤氏が発表した調査結果からこれまで以上に、カスタマージャーニーの深い理解に基づく、コミュニケーション設計が必要とされている状況が浮き彫りになった。

次ページ 「人口減少は死活問題でも、高齢社会にビジネスチャンスあり」へ続く

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