「知ってるつもり」で終わらせない! ワクワクする体験でプロダクトの価値を伝える―アサヒグループ食品、シャープ、Knotの挑戦

マーケターは、一人の中の多様性に向き合うべき

研究会では参加者が自社の商品を持ち寄り、互いに商品に触れながら、その説明を聞いた。「欲しくなった」「この後、買いに行きたい」と休憩時間も、会話が終わらないほど盛り上がった。

そうしたシーンもあって、参加者は研究会の最後に口を揃え「体験の大事さをまざまざと感じた」と振り返った。「私たちの商品は体験できる場がまだまだ少ないので、体験できる場を増やしていかなければいけないと身を持って感じました」と景井氏。

遠藤氏も「どちらの企業の商品も事前に情報を得て知っていたつもりだったのですが、実際に触れたことで、大ファンになりました。ジャンルは違えど、製品の機能だけでなくそれを使用した際に得られる体験価値で差別化する重要性を改めて感じました」と話した。

研究会を終え、加藤氏は体験価値を設計する視点の重要性について言及。さらに消費者にとっての価値を考える際、それぞれの消費者の多様な内面に目を向けることも必要ではないか、と指摘した。

「10代~20代はひとつのSNSのプラットフォームに複数のアカウントを保有し、使い分けている。ひとりの人の中に、多様なアイデンティティが共存している状況と言える。一方で50~60代は外に向けるアイデンティティとソーシャル上のアイデンティティがほぼ同じ。消費者基点、人の心に響く体験やサービスを設計する際には、顧客の多様な内面にまで向き合うべきではないか」と話した。

<各社のマーケティング活動のポイント>

アサヒグループ食品
「ミンティア」では名前入れサービスでコミュニケーションを拡大するほか、ハロウィン限定デザインや、社員用ケースも制作。「燃えよ唐辛子」や、豚のガツやハツを使用した「やみつきホルモン」は最近の注目のお菓子。今までグミにはあまり使用しなかった原材料を使うという挑戦。おつまみ売り場ではなく、グミの売り場に展開することで、女性からも人気。話のネタや、残業のお供に、というPR法で夕方に売り上げを伸ばす。

シャープ(ロボホン)
モバイル型ロボット電話。キャリングケースや、スーツ、クリスマス用のそりやサンタ服など着せ替え商品の販売も行っている。会話ができるほか、電話、メール、メールの読み上げ、写真、プロジェクターへの投影などが可能。クラウドサービスではダンスや新たな言葉を覚えさせることができるアプリケーション機能の充実も測っている。最近では、サンスターとコラボをし、歯ブラシの速度がわかるIoT歯ブラシを開発。子供の歯磨きレクチャーアプリも配信中。

Knot(ノット)
メイド・イン・ジャパンのリストウェアが1万円台からカスタムオーダーできる。ベルトも気分や服装に合わせて取り替え可能。時計、ベルト、10,000通りほどの組み合わせがある。第一号店の吉祥寺を皮切りに、表参道店、星が丘店、神戸元町店などに直営店を持つ。海外も台北、台中に展開。今後タイ、シンガポール、ベトナムにも展開予定。

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