県庁組織にイノベーションを起こす小さな組織「さがデザイン」

コンセプトから考え直して大変貌を遂げた「県庁CLASS」

「県庁CLASS」プロジェクト(デザイナー:テツシンデザインオフィス 先崎哲進)旧知事室、来賓室を子どもたちの学びの場としてリノベーション。「開かれた県庁」を体現する体験型施設として生まれ変わった。

設立以来、「さがデザイン」が関わった事業は、教育、産業、福祉など、あらゆる部局にわたる。その一例が、旧知事室、来賓室を子どもたちの学びの場として開放した「県庁CLASS」プロジェクトである。旧知事室に階段教室状の椅子を設置し、壁には子どもたちにわかりやすいようインフォグラフィックスなどを配置して、映像やパネルで佐賀県や知事の仕事について触れられる体験型施設にした。「旧知事室を保存して開放しましょうと言うと、古い調度品をそのまま置き、その隣に県政史を展示する…といった魅力に乏しい企画になりがちです。

多くの人は、そこにわざわざ足を運ぼうと思わないでしょう。それならば、コンセプトからデザイナーに入ってもらおうということで、子どもたちが県庁のことを学ぶ場という新しいコンセプトを立てました。誰に対してどう見せるかから考え直したことで、アウトプットが大きく変わったんです」。

県庁内の職員は、「さがデザイン」と業務で関わることをどう感じているのだろうか。

「僕らが関わると、その事業の担当者はめちゃくちゃ忙しくなります。僕らが『コンセプトから考え直しましょう』と言って現れて、前例のない作業が始まっていくわけですから。正直言って、その職員は大変です。でも、クリエイティブなことはやっぱり楽しいし、『こんな楽しいことが仕事になるんだね』ってにこにこして言いながら一緒にやっていくしかありません(笑)。その代わりと言っては何ですが、県職員の仕事の6 割近い労力を占めている“上に通す”仕事を『さがデザイン』が肩代わりする。僕らが通すから、一緒に楽しいことをやりましょう、と訴えていくイメージです」。

次ページ 「クリエイターが県知事や職員に「勝手にプレゼン」」へ続く

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