2017年クリスマス広告を振り返る — ジョン・ルイス、エデカ、アマゾンほか

11月第4木曜日の感謝祭を皮切りに、翌日のブラックフライデー、翌週のサイバーマンデーと、例年盛り上がりを見せる米国の年末商戦。

全米小売業協会(NRF)が10月に発表した推定によれば、今年の年末商戦(11~12月)における一人あたり支出予定額は約967ドルと、前年の約935ドルから3.4%増加し、小売り売上高は6788億~6820億ドル前後の範囲内で、前年の6558億ドルから3.6~4.0%増加する見通しとなっている。

クリスマスに向けて高まっていく人々の消費意欲をさらに掻き立てようと、例年、小売り各社の広告活動も熱を帯びる。ここでは7つの事例を通じて、2017年のクリスマス広告を振り返る。

【1】100年後の未来も、クリスマスが愛に溢れた日でありますように
エデカ「Weihnachten 2117」

 

ドイツの食品小売り国内シェア1位のスーパーマーケット・エデカが制作したCMの舞台は、100年後の未来。人類が街から消えた荒廃した都市で、ロボットが偶然「クリスマス」の存在を知る。クリスマスとは一体何なのか?なぜ家族があんなふうに笑っているのか?そんな疑問を解決するため、旅に出る。
家族の温かさやクリスマスの喜びを表現したCMは11月28日に公開され、YouTubeにおける再生回数は390万回を超えた(12月26日現在)。

【2】子どもたちをガッカリさせない!プレゼント配送センターは大忙し
アルゴス「#ReadyForTakeOff」

 

英国の大手ディスカウントストア・アルゴスは、エルフたちが働く「プレゼント配送センター」を舞台としたCMを制作した。クリスマスの夜、プレゼントの発送作業に追われるエルフたち。プレゼントを載せた“ソリ型飛行機”が次々と離陸していく中、ひとりのエルフが積み忘れのプレゼントを発見する。もう間に合わないか…と思いきや、エルフたちの見事な連携プレーによって、無事に飛行機に滑り込ませることに成功–というストーリーだ。

家族や友人へのプレゼントがなかなか決まらない人、忙しくてプレゼントを買いに行く時間がない人に向け、同社がECサイトで提供している、注文から最短4時間で商品を配送するサービス「Fast Track Same Day」を訴求した。

【3】“現代版”シンデレラのようなラブストーリー
ディベンハムズ「#YouShall Find Your Fairytale Christmas」

 

英国の老舗百貨店 ディベンハムズのCMは、クリスマスにぴったりのラブストーリー仕立て。あるクリスマスの夜に偶然出会い、たちまち恋に落ちた男女。その時は言葉を交わすことができなかった2人だが、女性が落としていった靴をヒントに、「#FindMyShoe」「#FindThatGirl」とSNSを使ってお互いを探し続ける。その様子は、さながら“現代版シンデレラ”だ。作中で登場人物たちが着ていたコーディネートは、実際に購入することもできる。

【4】まるで「チャーリーとチョコレート工場」の世界
アスダ「Best Christmas Ever」

 

英国の格安スーパーマーケット・アスダがCMで描いたのは、まるで映画『チャーリーとチョコレート工場』のような不思議な世界だ。レンガ造りの工場に忍び込んだ女の子。工場では、風変わりな従業員たちがクリスマスのディナーやデザートをつくっている真っ最中。女の子の探検の様子をコミカルに描くことで、アスダで取り扱っている商品にファンタジックなストーリーを付加した。Webサイトも、CMの世界観に合わせたクリスマス特別仕様になっている。

【5】大切な人に、あなたならではのプレゼントを。
ブーツ「#ShowThemYouKnowThem」

 

化粧品、ボディケア用品、日用雑貨なども取り扱う、創業150年の大手薬局チェーン・ブーツのCMは、「相手のことを深く知っているからこそ選ぶことができる、パーフェクトな贈り物を」と呼びかける。CMに登場するのは、幼い頃から多くの時間をともに過ごし、さまざまな思い出を共有してきた姉妹。贈り物そのものではなく、人と人との間に育まれた絆にこそ、本当の価値があるのだとメッセージを発信した。

次ページ 「【6】一人ひとりの「クリスマス」をひとつの歌にぎゅっと凝縮」へ続く

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ